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小柄な体格が「助けになっている」 投手コーチが絶賛した松井裕樹“唯一無二の武器”

Full-Count / 2024年9月4日 7時40分

パドレス・松井裕樹【写真:ロイター】

■ナ西地区で優勝争いを演じるパドレス、松井獲得を推した元阪神右腕

 地区優勝を巡り、ハイレベルな争いが繰り広げられているナ・リーグ西地区。9月2日(日本時間3日)現在、メジャー最高勝率で首位を走るドジャースを追うのが、ダイヤモンドバックスとパドレスだ。残り1か月を切った今、ドジャースが逃げ切る公算が高いが、パドレスはドジャース3連戦とダイヤモンドバックス3連戦でシーズンを締めくくる予定。ワイルドカードも含め、3チームの争いは最後まで目が離せない。

 18年ぶりの地区優勝、そして2年ぶりのポストシーズン進出を目指すパドレスに、今季から加入したのが松井裕樹投手。今年で29歳を迎える左腕は昨オフ、高校卒業から10年を過ごした楽天からフリーエージェント(FA)となり、パドレスと5年2800万ドル(約41億円)で契約を結んだ。この時、AJ・プレラーGMに松井の獲得を強く勧めたのが、現在パドレスの日本担当スカウトを務める元阪神、楽天の上園啓史氏だ。

 そもそもプレラーGMは日本球界や日本人選手を高く評価する人物ではあるが、その目は厳しい。野球に関する能力はもちろんだが、人柄、生活態度、家庭環境など、ありとあらゆる情報を収集。パドレスファミリーに迎え入れるに相応しい人物か否か、周囲に意見を求めながら徹底的にチェックする。松井獲得に際しては、元チームメートとして長短所を熟知する上園スカウトの意見は大きな参考になったという。

 楽天では通算236セーブを記録し、最多セーブ投手に輝くこと3度。日本を代表する守護神として申し分のないプロフィールを持つ左腕だが、メジャー移籍にあたって現地で聞こえたのが小柄な体格を懸念する声だった。


パドレスのルーベン・ニーブラ投手コーチ【写真:Getty Images】

■メジャーで小柄は不利? 「いや、むしろ助けになっている」

 メジャーでは190センチを超える長身から球速150キロ台の剛球を投げるスタイルの投手が多く、小柄な投手が投げる球はリリースポイントから打者の手元に届くまでの高低差が少なく、“フラット(平坦)”で打ちやすいとされている。これまでメジャーで思うような成績を残せなかった日本人投手の中には「球がフラットだ」と評価を受けた人は少なくない。

 はたして、身長173センチの松井にとって、その体格は不利となっているのか。「いや、むしろ彼の助けになっている」と断言するのが、ルーベン・ニーブラ投手コーチだ。「正直なところ、あの身長こそ投手としての魅力を際立たせていると思うんだ」と言葉を続ける。

 投手コーチが松井の“最大の武器”と考えるのが、「平均よりも大きく垂直方向に浮き上がる速球」だ。高いリリースポイントから投げ下ろされる球が多い中、逆に打者の手元で浮き上がるように伸びる球は珍しい。松井が投げる球は「スピン量が高く素晴らしい」ことに加え、「あの体格からしっかり体重を乗せて投げている」結果として「垂直方向の動きが生まれている」とコーチは分析。唯一無二の特徴を生み出していると絶賛する。

 スライダーやスプリットなどの変化球がより輝きを増すのも「しっかりと速球を投げられた時」だと話し、6月中旬頃から捕手とのミーティングでも「速球を多めにした配球にしてみないか」と助言。全投球のうち3割ほどだった速球の割合は、最近では4割を大きく超えるという。

 速球主体の配球が奏功したのか、球宴後はここまで18回1/3を投げて23奪三振。対して与四球は1と少ない。「シーズン当初こそ、思うように調子が上がらないこともあったが、最近はキーとなるリリーバーとして重要な場面で投げてもらっている」。40回1/3を投げて40奪三振23与四球だった球宴前から目覚ましい変化を見せている。「最近は非常にハイレベルなパフォーマンスを見せていて、我々は今、彼がHOT HAND(絶好調)だと言っていい」と投手コーチが話すのも無理はない。

■投手コーチが考える目覚ましい変化の源とは…

 この変化の源は、松井が「素の自分でいられる環境が整ったからではないか」と投手コーチは推察する。入団当初話題となった英語力にはさらに磨きがかかり、開幕から1か月ほど経った頃には「マウンドに来る時に通訳を連れてこなくても大丈夫です」と言われたという。通訳がいるおかげで大切な情報を聞き逃さないという利点もある一方、言葉に乗せる感情は伝わりにくい。今では、松井は1対1でも「会話を楽しめるようになった」と表情を緩めるが、どんな環境にあってもストレスのないコミュニケーションは、自分らしくいられるための第一歩となる。

 投手の分業制が定着して以降、強固なブルペン陣を持つことがポストシーズンを勝ち進む必須条件の1つとなった。パドレスはトレード期限を前に、元阪神で守護神のロベルト・スアレスにつなぐセットアッパーとして、マーリンズから左腕タナー・スコット、レイズから右腕ジェイソン・アダムを獲得し、ブルペンの強化に努めた。そこに加え、本来の輝きを放ち始めた松井が存在感を大きくしているとなれば……。ここからのパドレス、なかなか面白いことになりそうだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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