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大谷翔平はボンズやレブロン級? 地元記者が認める“野球の枠”を超えた価値

Full-Count / 2024年9月6日 7時30分

ドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】

■LAタイムズ紙のヘルナンデス記者「活躍しなくても、価値はある」

 ドジャース大谷翔平投手の超人ぶりが凄まじい。8月23日(日本時間24日)の本拠地レイズ戦で史上6人目となる40-40(40本塁打・40盗塁)を達成すると、その1週間後の30日(同31日)には同地区ダイヤモンドバックスの本拠地で前人未到の43-43をあっさり成し遂げてしまった。

 エンゼルスからドジャースに移籍して1年目。好不調の波は多少あったものの、結果的にMVP級の成績を残し、チームは地区3連覇へ突き進んでいる。昨年12月、プロスポーツ選手史上最高額とされる10年総額7億ドル(約1015億円)という規模で世界を沸かせた契約は、今のところ順当と言えるのだろうか。

「いや、もう活躍しなくても、それだけ出す価値はあると思うんですよ」

 そう話すのは、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」のコラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者だ。ロサンゼルス育ちの日系2世で流暢な日本語を操り、誰にも忖度しない鋭い切り口の記事は人気が高い。野球以外も幅広く取材しているが、そのヘルナンデス記者をして「アメリカで一般的に知られている野球選手って本当に大谷選手だけなんですよね」と言わしめる。

 北米4大スポーツで、MLBの人気は3番目。ロサンゼルスでもその順番は変わらず、毎年キャンプイン直前に行われるドジャースのファンフェスタはこれまで壮行会のようなものだった。だが、大谷が入団した今年は一変。「本当にアイドルがいたような、拍手じゃなくて“ギャーッ!”みたいな(歓声)。本当にすごかったです」とファンの興奮ぶりを振り返る。

■大谷の姿から想起するスポーツ界の2大スーパースター

 数多くのスーパースターを取材してきたヘルナンデス記者が大谷の姿を重ね合わせるのが、史上最多762本塁打を誇るバリー・ボンズ氏と、NBA史上最高の選手とも評されるレブロン・ジェームズ選手だ。

 例えば、周囲の喧噪には耳を傾けず、抜群の集中力で試合に臨み、結果を出す様子はボンズ氏を思わせるという。「通訳の事件があって、その中でも平気に活躍できるっていうのがやっぱりすごいと思いますね」。話題の性質こそ違えど、ボンズ氏は薬物使用疑惑の渦中にある2007年に通算本塁打数のメジャー新記録を樹立。「フィールド上にいる時は周囲の声を完全に無視して活躍できるというところが似ていると思いますね」と言うヘルナンデス記者は、自身も含め「普通の人には理解できないですよ」とプロ意識の高さを称える。

“キング”の愛称を持つジェームズと共通するのが「発言力の生かし方」だという。ジェームズはキャンプインやシーズン開幕などの節目で大々的にメディア対応するが、「話す時は何かの目的があって話します」。つまり、自らの思いや希望の実現を後押しするために、いい意味でメディアの拡散力や世間の反響を借りている、というのだ。確かに大谷にもその傾向はありそうだ。

「最初にMVPを獲った年(2021年)の9月には、アナハイムは好きだけど『勝ちたいという気持ちが強い』と言ったり、2年前のオールスターではWBCについて『出たい気持ちはある』と言ったり。(中略)この前、テキサスでオールスターをした時はロス五輪に出たい、と。自分の発言力をだんだん理解してきて、それをどう利用するか、そこはちょっと考えていると思うんです」

 そして、大谷は功罪あるSNSの恩恵にも与っている。MLB機構や球団公式SNSでは大谷の活躍ぶりやオフショットなどが積極的に公開されたり、大谷自身も公式SNSを通じて発信したり。「笑顔がいい」と褒めるヘルナンデス記者は「あまり(メディアを通じて)話していなくてもファンとの距離は結構縮んだと思います」と話す。

■大谷には未知となる10月の野球…「何かが変わりますよね」

 メディア対応する機会は限られていても、ドジャース移籍後はメディア露出が増えている。1883年創設という屈指の伝統球団であり、最近は11年連続ポストシーズン進出という強豪と、9年連続負け越しが決まっているエンゼルスとでは、世間からもメディアからも注目度は違う。ヘルナンデス記者は「エンゼルス以外、みんなにとっていい移籍」と言葉を続ける。

「野球界全体としても、一番いい選手にみんなが見ている舞台でプレーしてほしい。日本では弱い球団でもずっとプレーするのがかっこいいとされますが、メジャーは結果がすべて。勝たないと意味がないというのがある。そういう意味では、野球にとっていいことですし、彼にとっても10月のポストシーズンに出てやり甲斐があるというか、特にWBCの彼の活躍を見ると、やっぱり舞台が大きいほど活躍するんじゃないか、と僕は思うんですよね」

 今季もドジャースはポストシーズン進出をほぼ手中に収めている。10月の野球は、メジャー7年目の大谷にとって“未知の世界”。この経験が稀代のスターを新たな境地へ導くのではないかと、ヘルナンデス記者は予想する。

「ロサンゼルスはコービー・ブライアント、シャキール・オニールがいたレイカーズがあるから、スポーツの種類は違いますけど、優勝して当たり前みたいな雰囲気になっている。アメフトではNFLでラムズが優勝して、大学でUSC(南カリフォルニア大)が優勝しています。優勝するとロサンゼルスの王様になれるけど、失敗するとその分メチャクチャ叩かれる。(LAと)ニューヨーク以外にこういう場所はない。(10月が終われば)いい風にでも悪い風にでも、何かが変わりますよね」

 何がどう変わるのか? ポストシーズンを戦い終えた後の大谷が今から楽しみだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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