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忘れられない中日を見た衝撃 絆を深める1曲…20周年のロッテチアは「青春+娘」

Full-Count / 2024年9月7日 20時48分

対談するM☆Splash!!現リーダーのYUKAさん、ヘッドコーチの長峰美紀さん、元メンバーのYOSHIKOさん(左から)【提供:パ・リーグ インサイト】

■「M☆Splash!!」が20周年…OGら3人が創設期から振り返る

 ロッテの公式チアパフォーマー「M☆Splash!!(エムスプラッシュ)」が、今年結成20周年を迎えた。結成時から今もなお「M☆Splash!!」のヘッドコーチ、キッズダンススクール「マリーンズダンスアカデミー(MDA)」でエグゼクティブディレクターを務める長峰美紀さん、「M☆Splash!!」の初代メンバーであり、MDAインストラクターとしては2006年開校時から現在も活動を続けているYOSHIKOさん、2006年MDA開校時の生徒であり、現在は「M☆Splash!!」のリーダーを務めるYUKAさんの3名に話を聞いた。

 2005年に「M☆Splash!!」初のオリジナル衣装が完成した。開幕セレモニーで「100人チアパフォーマンス」が行われ、出演する100人のチア用に2種類の水色の衣装が作られた。1日限りの使用はもったいないので、その後も「M☆Splash!!」が着用を続け、3つの衣装をランダムで着ていた。

 2005年の5月、「M☆Splash!!」立ち上げからコーチを務めた長峰さんが退任することになった。NFLチア経験者のコーチ就任に伴い、2005年の夏からは白を基調としたNFLチアを彷彿とさせる衣装へ変更となった。

 ロッテは2005年に31年ぶりのリーグ優勝、日本一、アジアシリーズ初代王者など合計6冠を獲得する記録的なシーズンとなった。千葉市内で行われた優勝パレードに「M☆Splash!!」も参加した。

 2005年夏、衣装変更と同時期にマーくんなどのマスコットと一緒に活動する役割を「M☆Splash!!ベースボールズ」と命名。ベースボールズとして活動する際には、専用の衣装を着用した。またベースボールズのなかでヒールキャラの「COOL」担当メンバーは「BLACK★Splash!!」と呼ばれ「BLACK★Splash!!」用の衣装も存在した。「BLACK★Splash!!」としての活動は衣装をリニューアルしながら、COOLが卒業する2016年まで継続された。

■「自分もプロ野球に関わることができる」…少女にも夢

 2006年、球団からのオファーを受けて長峰さんがコーチに再就任。長峰さんは同時に受けた「MDAを立ち上げてほしい」というオファーも引き受け、アカデミー事業の立ち上げが本格始動した。「M☆Splash!!」の運営も手探りの状態。MDA開校を目指し、プロジェクトを進めていったのは「M☆Splash!!」創設者である球団担当者で、並々ならぬ思いがあった。

 デビューしてしばらくの間、担当者がいつも目にしていたのは「M☆Splash!!」に対してのお客さんの冷たい視線。存在を受け入れてもらうため、挑戦を続けた。プロ野球チアは「イロモノ」。グラウンドに選手以外は不要という空気を変えたかった。

 子どもたちが球場に来て、男の子たちは「プロ野球選手になりたい」という夢を持つことができる。女の子たちはプロ野球チアを見たら「自分もプロ野球に関わることができる」と夢を持つことができるのではないか。「子どもたちの先生であること」で存在意義を見出し「チアの存在価値を高めたい」と担当者はMDA開校を思い描き、いつしかそれが自分自身の夢となっていた。

 2006年10月にMDA開校となった。長峰さんが選考した、YOSHIKOさんを含む6名の「M☆Splash!!」メンバーがインストラクターを担当。まだ幼かったYUKAさんが開校時の生徒としてMDAに入会した。

 2006年は「M☆Splash!!」にとって初の他チーム交流も行った。中日ドラゴンズのオフィシャルパフォーマンスチーム「チアドラゴンズ」(以下チアドラ)の千葉マリンスタジアム(現:ZOZOマリンスタジアム)来場だった。チアドラは1997年に結成。当時から高いレベルのパフォーマンスでプロ野球チア界を牽引してきた老舗チームだ。

■名古屋でチアドラを見た衝撃

 長峰さんは「担当者が名古屋でチアドラを見て衝撃を受けて帰ってきて『どうしてもあんなチームになりたい』『長峰さんにも1度見てほしい』と、チア交流を熱望。2006年に実現し、チアドラ4名とドアラ、シャオロン、パオロンが千葉へ、翌2007年には「M☆Splash!!」がナゴヤドーム(現:バンテリンドーム)へ行きました。初めて他球団のチアチームに触れ、勉強になったことを覚えています」と、振り返った。

 また交流時にコラボダンスステージを行う際、お互いがいつも踊っている曲を持ち寄ってステージを完成させるだけではなく、両チームが一緒に踊れる特別感を作りたいとの担当者の意向で、長峰さんが振り付けを手がけ「M☆Splash!!」とチアドラのコラボナンバー「Starlight Destiny(スターライト・デスティニー)」が誕生した。

 ある年のコラボステージでは「Starlight Destiny」の最後の指を差す振り付けで、名古屋で踊るときは千葉を、千葉で踊るときは名古屋をさして「また会おうね!」という意味を込めて踊るなど、両チームの絆をより深める1曲となった。また、長きにわたり踊り継がれる両チームの交流の歴史を象徴する1曲でもある。

 2011年3月には東日本大震災が発生。「震災が起きて衣装を作るメーカーも工場も全てストップ。開幕に衣装を間に合わせるために、震災から約1週間後、渋谷にあるメーカーにメンバー全員を連れて採寸にいったことを思い出します」。2011年は、オールスターが千葉と名古屋、さらに震災復興の願いを込め仙台でも開催。歴史上初めて、11球団チアと広島東洋カープのホームランガールを参集したオールスターとなったのも2011年だった。

 ディレクターとしてチア演出に関わる全てを担当した長峰さんは「震災の年に開催されたオールスターで『応援する』という気持ちを形にさせてもらうことができ、やはりとても印象深いです。またそれぞれのカラーがある全球団のチアをまとめてひとつのものを作るのは想像以上に大変で、必死に取り組んでいたら、あっという間に終わってしまったということもよく覚えています」と振り返る。

■「個性が共存しながらチームとして結束する」

 2015年〜2020年頃は、スペシャルイベント「マリンフェスタ」の開催をはじめ、装飾、演出、クルーの制服など球団全体が「マリンテイスト」を推進していた時代。「M☆Splash!!」の衣装も波に乗って10年ぶりにセーラーテイストが採用された。

 2015年からは千葉市内の商業施設で公開オーディションを開催し、一般公開形式で最終審査を行い新メンバーを決定した。ファンも参加できるweb投票や公開面談などさまざまな取り組みを実施し盛り上がりをみせ、一般公開形式は2019年度まで継続。2018年の公開オーディションで合格し、メンバー入りしたYUKAさんは、当日会場に学校の友達やMDAの仲間も応援に駆けつけてくれたという。

 2021年頃からは球団ブランディング強化が本格化した。これまでは衣装としての華やかさや、かわいらしさの視点で制作していたコスチュームも、チームブランディングを最重要視。チームカラーの白、黒を貴重に、新たな常勝軍団を目指すチームのチアとして相応しいようクオリティを突き詰めた。

 今季は20周年という節目に歴代初となる複数パターンのデザインを採用。2パターンの衣装からさらに、各ボトムスのスカート部分や装飾の付け外しができる仕様となっており、合計6パターンのスタイルに変化。「個性が共存しながらチームとして結束する」という意味が込められている。

 現在の「M☆Splash!!」は、ロッテ主催試合時のグラウンド内やステージでのダンスパフォーマンスをはじめ、各種ファンサービスイベントのサポート、さらに千葉県内の学校訪問、ボランティア活動といった地域貢献活動にも参加し、チームだけでなく千葉県を盛り上げる存在を目指し活動を行っている。

■3人にとって「M☆Splash!!」とは

 最後にこの20年を振り返り、長峰さん、YOSHIKOさん、YUKAさんに「あなたにとって『M☆Splash!!』とは」と尋ねた。YUKAさんは「今回これまでのお話を改めて聞いて、いろんなことが当たり前にできている今はとても恵まれているな、すごいことだなと感じました『M☆Splash!!』とは……と考えると『憧れ』という言葉が浮かびます。子どもの頃は『M☆Splash!!』に憧れMDAでレッスンに励み、そして今は『こういうお仕事がしてみたい』と思ってくれる小さな子を増やすべく、子どもたちにとって憧れの存在でいられるよう頑張りたいです。人生の半分以上を過ごしているこの場所で、いろんな経験をして、いろんなことが始まっていきました。私にとって『M☆Splash!!』とは原点です」と話した。

 YOSHIKOさんは「私がいた時代は創成期だったので、とにかく認めてもらうことに必死でした。ゴミ集めをしたり、売り子をしてみたり、太鼓を叩いてみたり、担当者が思いついたことはなんでもやりました。マーくんと球場内を練り歩いていたら『邪魔だ!』と言われたり、グラウンドから『誰も見てないなぁ』と思いながら踊ったりしたこともありましたが、バラエティに富んだ経験をさせてもらえたことはとても楽しかったです。今ファンの皆さんからこんなにも認めてもらって『マリーンズのチアだぞ』って胸を張って言ってもらえているのは私もとてもうれしいです。あのとき頑張ってやってきたことがつながってよかったなって。私にとって『M☆Splash!!』とは、自分がいたときは青春。今は娘のようにかわいい存在。『青春+娘』ですね!」と振り返った。

 そして、長峰さん。「マリーンズに出会ってから本当に貴重な経験をたくさんさせてもらって、とんでもない量の知識をもらいました。マリーンズで起こること全てが経験で、今でも挑戦の連続。『1番印象的な出来事』は20年間更新され続けています。無理難題だと思うことも、全力で取り組んだらそれがいろんな形でちゃんと返ってきてくれるので『なんでもやってみなきゃわからない』と何度も感じさせてもらいました。私にとって『M☆Splash!!』とは、挑戦、経験、還元を繰り返し、想いが循環し続ける。そんな場所です」。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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