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松井裕樹と好相性を誇る日系4世の“相棒” 明かした魅力…直球には「明らかな特徴」

Full-Count / 2024年9月10日 7時35分

パドレスのカイル・ヒガシオカ(左)と松井裕樹【写真:Getty Images】

■地区首位ドジャースとは直接対決3戦を残すパドレス、大逆転の可能性も…?

 2年ぶりのポストシーズン進出へ順調に勝ち星を重ねているパドレスは現在、18年ぶりとなる地区Vの可能性を求め、地区首位のドジャースを猛追している。145試合終了時点でゲーム差は6。決して容易い状況ではないが、24日(日本時間25日)からは敵地ドジャースタジアムで3連戦が予定されている。ここまでに3ゲーム差以内としておけば、逆転優勝も十分に有り得る状況だ。

 メジャー13年目のダルビッシュ有投手とともに、佳境も佳境、シーズン最終盤のデッドヒートの中に身を置くのが、移籍1年目の松井裕樹投手だ。ここまで61試合に投げて4勝2敗9ホールド、防御率3.84の成績。8月29日(同30日)カージナルス戦から3試合連続で失点してはいるものの、ブルペンで貴重な左腕。楽天での10シーズンで記録した236セーブという実績もあり、チームからの信頼は厚い。

 将来のメジャー移籍を見据えて磨いていたという英語力は、AJ・プレラーGM、ルーベン・ニーブラ投手コーチら首脳陣はもちろん、今季は安定した打撃でチームを牽引するジュリクソン・プロファー外野手らチームメートも認めるところ。チームにいち早く溶け込んだ松井の活躍を我がことのように喜び、「ユウキとバッテリーを組むことを心から楽しんでいる」と話すのが、同じく今季からパドレスに加入したカイル・ヒガシオカ捕手だ。

 2008年にドラフト指名されて以来、ヤンキース一筋で過ごした日系4世。プロ10年目の26歳でメジャーデビューを果たし、ヤンキースでは田中将大投手(現楽天)ともバッテリーを組んだ。2022年には83試合、2023年には92試合に出場しヤンキース投手陣を支えたが、昨年12月にフアン・ソト外野手を中心とする計7選手の大型トレードでパドレスへ移籍。今季はルイス・カンプサーノ捕手とのコンビで投手陣をリードする。

■伝統球団ヤンキースで身につけた勝者のメンタリティー「好不調の波がないこと」

 ヒガシオカは松井の投球について「他の球種もいいけれど、彼の最高の武器はフォーシームだ」と語り、フォーシームを軸とした配球でアウトの山を築く。「明らかな特徴を持つ」というフォーシームは、打者目線からは「浮き上がってくるように見える」特別なもの。ニーブラ投手コーチと同様に、ヒガシオカも「小柄な身長が有利に働いている」と話す。

 18.44メートルの距離で向き合うパートナーが何よりも高く評価するのが、松井の自己管理能力だ。

「ユウキさんは毎日ウエートルームに一番早くやってきて、本当に熱心に自分のルーティンに向き合っているんだ。マウンド上でも非常に素晴らしい球を投げる。シーズンを通じてマウンドに立ち続けるには、毎日体の準備が整っているか確認したり、自分の持ち球をさらに磨き続けたり、彼のように自己管理ができることが大切。本当に素晴らしい」

 10月から始まるポストシーズンに進出できるのは、メジャー30球団のうち12球団。ワールドシリーズ27回の優勝を誇る伝統球団・ヤンキースでキャリアを積んだヒガシオカは、自然と勝者のメンタリティを身につけてきた。ペナントレースを制するため、ポストシーズンに進出するため、チームにとって最も大切なのは「シーズンを通じて好不調の波がない戦い方をすること」。それを支えるのは、選手個々の安定したパフォーマンスであり、自己管理能力。だからこそ、初めて続きの異国の地でも、日々変わらぬルーティンで準備をする松井に一目を置く。

■松井と相性のいいヒガシオカ、捕手としての成長を感謝する人物とは…

 松井とはここまで23試合でバッテリーを組み、防御率2.77、被打率.172、4与四球、33奪三振という好成績を収めている。同じ日本にルーツを持つ親しみやすさもあるが、ヤンキースで田中とバッテリーを組んだ経験も大きな助けになっているという。「僕より年上のタナカさんには(捕手としての)成長を後押ししてもらった」と感謝の気持ちを忘れない。

 松井が田中と初めて一緒のユニホームを着たのは2021年のこと。2014年に海を渡った田中とは入れ違いで楽天に入団したため、田中の日本復帰後から3シーズンを共に戦い、様々なアドバイスを受けた。田中と過ごした時間を糧として成長を続ける松井とヒガシオカが今、こうやってサンディエゴで相性のいいコンビとなっていることに不思議な縁を感じずにはいられない。

 レギュラーシーズンは残すところ2週間あまり。パドレスは最後の最後で大逆転劇を演じることができるのか、目が離せない。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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