西武ドラ1の急成長は「チーム状況も…」 苦笑いの指揮官、17年ぶり快挙に意外な背景

西武・武内夏暉【写真：小林靖】

■西武・武内は2007年の岸孝之以来となる新人10勝＆規定投球回到達

■西武 8ー0 日本ハム（9月30日・ベルーナドーム）

　西武の武内夏暉投手が30日、ベルーナドームで行われた日本ハム戦に先発し、8回3安打無失点の好投で10勝目を挙げた。球団の新人としては2007年の岸孝之投手（現楽天）以来、17年ぶりの2桁勝利と145回1/3を投げての規定投球回に到達。渡辺久信監督代行は新人左腕の成長について「今のうちの状況もあるかも…」と意外な一因を挙げた。

　3球団競合の末にドラフト1位で入団した左腕は開幕から9試合で5勝負けなし、防御率1.10の圧倒的な成績を残していた。8月に2試合連続6失点を喫するなど勝ち星に恵まれない時期も過ごしたが、「感染症特例」で外れた時期を除けばローテーションを守り抜いた。

「1年間ローテを守るのは苦しい。アマチュアからきてすぐは難しいことなんだけど、しっかり自己管理やケアも1年目からしっかりできていた」

　渡辺監督代行は21試合に登板して10勝6敗、防御率2.17で1年目を終えた新人左腕に脱帽した。この日は投げた8イニングで先頭打者の出塁を許したのは1度だけ。「バタバタしないピッチャーで、ランナーを出しても落ち着いているというのはあるんですけど、先頭をしっかり抑えることで余計にバタバタしないというかね」。

　シーズン中に緩急を使えるようになった部分が大きく成長したという。「カーブを使えるようになってきている。あれがアクセントになっている。他の球種に比べて打者に分かりづらい球種になっている」と分析した。

　投球の幅を広げることは1年目の投手がシーズン中にあっさりと習得できる技術ではない。だが武内ができたのは「それは今のうちのチーム状況があるからかもしれない。覚えざるを得ないというか……」。チームがなかなか勝てない状況を打破するために武内は成長した。渡辺監督代行は苦笑混じりに急成長の一因を分析した。

「でも本当にこの1年、いろんな意味で彼にとってすごくいい1年だったんじゃないかな。本当に2桁（勝利を）できて良かった」。指揮官は苦しいチーム事情のなかで奮闘した左腕を「もう、満点でしょうね」と称えた。（湯浅大 / Dai Yuasa）