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「上から目線」やめたら日本一 采配ミスが転機…“負の連鎖”作らない思春期年代指導

Full-Count / 2024年10月3日 7時50分

宮城仙北ボーイズの練習の様子【写真:川浪康太郎】

■今夏日本一の中学硬式野球・宮城仙北ボーイズ「選手の『逃げ道』も作らないと」

 思春期真っ只中の中学生年代に、野球を教える難しさを感じている指導者は少なくない。ボーイズリーグの全国大会「エイジェックカップ第55回日本少年野球選手権大会」で東北勢初の日本一に輝いた、宮城仙北ボーイズ(宮城・大崎市)を率いる田中伸次監督は、約2年前から選手との接し方を変えた。以前までの「上から目線」をやめ、現在は「同じ目線」に立って指導している。Full-Countでは小学生・中学生世代のカテゴリーで日本一を成し遂げた監督に取材。田中監督に現在の指導方針を聞いた。

 2年前、自身の采配ミスで全国大会出場を逃したことがあった。敗れた際、当時の3年生と腹を割って話したのを機に、「子どもたちとフレンドリーに接して、冗談も言い合える付き合いをしよう」と心に決めた。

 それ以降は、監督と選手の間の過度な「上下関係」をなくし、中学生と同じ目線に立つことを心がけた。チーム内には学年別のLINEグループがあるが、3年生のグループには監督も加わり、直接顔を合わせる時間以外も積極的にコミュニケーションを取っている。

 一方、10人以上いるコーチ陣は、選手たちに愛情を持って厳しく接する。ただ、選手には「自分に合わないことは右から左に流して、合う人の言葉を聞きなさい」と伝えてきた。田中監督は「厳しく指導することも必要ですが、監督は『逃げ道』を作ってあげないといけない」と話す。


宮城仙北ボーイズの田中伸次監督【写真:早浪章宏】

■「うちの子は反抗期」には誤解も…保護者との連絡も欠かさず

「監督から厳しく言われすぎると、1つミスをした時に余計に硬くなって、ミスが連鎖を呼ぶ」と指揮官。しかし、“同じ目線”を意識するようになってからは、「選手たちは伸び伸びとプレーしている。1つのミスで終わるようになった。ポロっと落としても、次のプレーは完璧にこなすようになりました」。

 田中監督は「同じ目線」に立つ指導の効果を感じている。ただ、これはあくまでも中学生年代の指導における考え方だという。

「小学生の場合、監督が選手と同じ目線に立つのは難しいと思う。義務教育を終えている高校生は言ってしまえば大人なので、目線を下げる必要もない。会話ができて、悩み事も聞けて、でも親御さんがいないと生活できない中学生だからこそです」。チームを発足させた2012年から中学生を指導する中で、たどり着いた指導論だ。

 思春期の子どもとの接し方に頭を悩ませるのは指導者だけでなく、保護者も同じ。時には保護者から「うちの子が反抗期なんです」などと相談を受ける。だが、普段から直接会話をしたり、LINEでやりとりをしたりしていると、保護者の「誤解」に気づくこともある。「家以外」の子どもの様子を伝えるべく、日頃から保護者とのコミュニケーションも欠かさない。

 新チームの体制がスタートし、ここから再び日本一を目指す。田中監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。「これからも誠心誠意、選手たちと同じ目線で付き合います」と語る、その指導論について披露してくれる。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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