脱勝利至上主義も「成長を止めている」 全国未勝利→日本一に辿り着いた“2度目の改革”
Full-Count / 2024年10月4日 7時50分
■今夏全国初優勝…「堺ビッグボーイズ」小学部が次に見据える“新根性論”
野球界の“流れ”に柔軟に対応し、日本一を手にした。大阪・堺市で活動する小学硬式野球の「堺ビッグボーイズ」小学部は、今年8月に行われた「第55回日本少年野球選手権大会」で初優勝を飾った。チームの転機となったのは「2度目の少年野球改革」だった。Full-Countでは小学生・中学生の各野球カテゴリーで日本一を成し遂げた経験を持つ指導者に取材し、子どもたちの成長を促すポイントを探っていく。
ボーイズリーグの名門として長年活躍する「堺ビッグボーイズ」だが、小学部は意外にも昨年まで全国大会未勝利だった。今夏は「悲願のV」とも思えたが、GMを務める瀬野竜之介氏は「小学チームが勝利するための作戦はあえて立てずに、選手たちの自力で勝てたことに意味がある。子どもたちの頑張りに感服しています」と、ナインたちを称えた。
チームは2009年から「脱勝利至上主義」を掲げ、上のレベルでも活躍できる育成重視のチーム運営に転換。罵声、怒声、効率の悪い長時間練習などを排除し、子どもたちが野球を楽しみ、成長できる環境作りに専念した。強豪チームの方針転換に賛同し、これまで以上に多くの子どもたちが足を運び、選手寿命も長くなったという。
近年は「エンジョイベースボール」も浸透し、野球界にも変化が見られるようになったが、一方で弊害もある。「野球を楽しむ」というフレーズが先行したことで、「楽な野球」と間違った解釈をする指導者や子どもたちが生まれているという。
胴上げされる瀬野竜之介GM【写真:チーム提供】
■2度目の改革を行った瀬野GM…子の変化に対応しつつ「指導者の資質が問われる」
子どもたちの将来を守ることはもちろん必要だが、野球をやるうえで本当に大切なものがあるのではないか――。ここ数年で瀬野GMも違和感を覚えるようになっていた。
「私自身も『目先のことより将来』という考えは変わらない。ですが、その言葉が成長を止めているのではないか。ある試合で負けた時に、子どもたちの表情がどこかぼんやりしていた。悔しさを出して泣けばいい、わけじゃないが、受け止め方はすごく大事だと感じました」
さらに、こう続ける。「困難を乗り越える力は必ず必要になる。目の前の勝利に執着させることを、どう引き出すことができるか。そういった意味では、試合のなかで乗り越えて勝つ強さは求めるようになってきました」
有無も言わさず猛練習で鍛え上げる野球から、将来を見据えた育成重視の指導法と変化を遂げてきた堺ビッグボーイズ。次なるステップは暴力も罵声もない“新根性論”とみている。「1周回ってではないが、今の時代にも必要な部分はあった。子どもたちの変化に対応しながら、指導者の資質が問われると思います」。あくなき挑戦を続ける瀬野GMとチームを率いる高曽学監督は、今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定だ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「上から目線」やめたら日本一 采配ミスが転機…“負の連鎖”作らない思春期年代指導
Full-Count / 2024年10月3日 7時50分
-
中学1年から進路指導 靴の並びも「口酸っぱく」…高校野球で活躍できる“三位一体策”
Full-Count / 2024年10月2日 7時50分
-
【巨人】長嶋茂雄終身名誉監督「バランスの取れたチームに成長していった」4年ぶり39度目のセ・リーグ制覇を称賛
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月28日 22時38分
-
元阪神4番、“転身”後に直面する資金繰り問題 選手は無給でバイト…第2の人生で描く夢
Full-Count / 2024年9月17日 6時50分
-
だからいまだに選手に体罰を行う指導者がいる…日本の野球界がアメリカに比べて決定的に欠けていること
プレジデントオンライン / 2024年9月9日 9時15分
ランキング
-
1ハマスタスタンドに「岡田監督ありがとう」の文字 退任の岡田監督へ虎党涙「岡田コール」も
スポニチアネックス / 2024年10月3日 21時24分
-
2最多観衆の前で頭下げ「すみませんでした」 3年連続CSも…DeNA三浦監督「悔しい結果」
Full-Count / 2024年10月3日 22時45分
-
3【日本代表】古橋亨梧また落選でタメ息続出「構想外なんだろうね」「可哀想な選手」
東スポWEB / 2024年10月3日 18時29分
-
4大谷翔平の意外な“1”「初めてなんだ」 歴史的1年もライバルの存在…最終月で掴んだ栄冠
Full-Count / 2024年10月2日 7時51分
-
5引退試合のヤクルト・山崎晃大朗「全部が中途半端な選手でした」高津監督の“無茶ぶり”で爆笑スピーチ
スポニチアネックス / 2024年10月3日 21時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください