大谷翔平に復調の“兆し” 凡打も専門家は「前向きに評価」…崖っぷちで期待される一撃
Full-Count / 2024年10月10日 6時55分
■新井宏昌氏が見た大谷翔平の“兆し”
ドジャース・大谷翔平投手は8日(日本時間9日)、敵地で行われたパドレスとの地区シリーズ第3戦で4打数1安打2三振だった。チームは5-6で敗れ1勝2敗となり、9日(同10日)の試合で敗れればポストシーズン敗退となる崖っぷちに追い込まれた。しかし、現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLB中継の解説も任される新井宏昌氏は、大谷の打撃内容に“爆発の予兆”を感じ取った。
「第1戦、第2戦に比べると、気負い、余計な力みを感じませんでした。相手投手に非常にいい球を投げられて、バットを折ってのヒット1本に終わりましたが、いい感じで打席に立てていたと思います」
初回先頭の第1打席は、パドレスの先発で今季13勝9敗、防御率2.95をマークした右腕キングに翻弄された。153キロのストレート、150キロ台のシンカー、チェンジアップを駆使され、カウント2-2となった後、膝元に食い込んでくるスイーパー(横に大きく曲がるスライダー)を振らされ、三振に倒れた。「大谷は過去にキングと何度か対戦して打っていますが、それでも試合の初見で、あのスイーパーを捉えるのは難しい。それくらい、いい球でした」と新井氏は評する。大谷はレギュラーシーズンでキングを相手に通算14打数6安打の対戦打率.429、3本塁打を記録していた。
1-6と大量リードされて迎えた3回1死一塁での第2打席には価値があった。カウント1-1からキングが投じた141キロのチェンジアップにバットを折られるも、しぶとく中前に落してチャンスを広げた。「点差が開いていたので強引に行かず、確実に後ろへ繋いで走者をためようという気持ちが表われていました。もし長打を狙って打ちにいっていれば、バットが空を切るか、凡打に終わっていた可能性が高いと思います」。実際にドジャースはこの回、走者がたまったところで、T・ヘルナンデスが満塁弾を放ち1点差に迫った。
■リリーフ左腕スコットに3打席3三振も、過去2打席と違う内容
惜しかったのが、1点ビハインドの5回に先頭打者として迎えた第3打席だ。フルカウントで、キングが外角のボールゾーンからストライクゾーンへ入れてきたスイーパーを捉えると、打球はバックスクリーンへ向かって舞い上がった。だが、フェンス手前で中堅手のグラブに収まった。「フルカウントだったので、シンカー、チェンジアップも頭に入れておかなければならない状況でした。スイーパーにヤマを張るわけにはいかなった。それでも相手に“あわや”と思わせるコンタクトができたことは、前向きに評価していいと思います」と新井氏は絶賛した。
8回先頭での第4打席は、パドレス4番手の左腕スコットとの対決だった。158キロの速球をファウルにするなど粘ったが、最後は外角高めの145キロのスライダーを見逃し、三振に終わった。
スコットとは今回の地区シリーズ3度目の対戦で、結果は全て三振。ただ、これまでの2打席は計10球、ストレート一辺倒だったが、この日はスライダーを2球使われた。新井氏は「大谷は過去2度の対決では、高めのボール気味の速球を何度も空振りしていました。しかし、この日は158キロを2球ファウルしましたし、際どいボール球も見極めた。最後のスライダーは、大谷としてはボールと判断したのだと思いますが、相手バッテリーを『同じ攻めをしていたら打たれる』と感じさせたのだと思います」と分析する。
「第1戦と第2戦の大谷は、高めの速い球を多投してくるパドレスの投手陣に対して、やや強く振ろうとし過ぎに見えましたが、この日はいいコンタクトができていたと思います。彼の場合はいいコンタクトを描いていても、芯に当たれば飛びますから、力み過ぎないことだと思います」と新井氏。9日(同10日)の第4戦のパドレス先発は、大谷が第1戦で3ランを浴びせたシース。爆発の予感は高まるばかりだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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