マチャドの走塁は「抜け目ない」 賛否も専門家は評価…後のないド軍が“逆転する条件”
Full-Count / 2024年10月10日 9時8分
■第4戦のスタメンを外れた主砲フリーマン…故障者続出で手薄な先発投手陣
【MLB】パドレス 6ー5 ドジャース(日本時間9日・サンディエゴ)
大谷翔平投手を擁するドジャースは8日(日本時間9日)、敵地で行われたパドレスとの地区シリーズ第3戦に5-6で惜敗。1勝2敗となり、あと1敗すればポストシーズン敗退の崖っぷちに追い込まれた。9日(同10日)の第4戦に向けて、巻き返しの条件を専門家が分析する。
「両チームの選手の状態を比べると、明らかにパドレスの方がいい。特に先発投手陣には差があります」。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLB中継の解説も任される新井宏昌氏は、率直に論評する。「ドジャースが挽回するには、たとえば打線がビッグイニングをつくって大量得点するとか、よほど大きい出来事が必要だと思います」と付け加えた。
今季ナ・リーグ西地区を制したドジャースだが、自身初のポストシーズンで躍動している大谷はともかく、周囲で故障者が続出している。35歳で「3番・一塁」の重責を担うフリーマンは右足首に故障を抱えながらも強行出場を続けていたが、第4戦のスタメンから外れた。新井氏は「彼が本調子ではない、あるいは、いなくなるというのはドジャースにとって非常に痛い」と指摘する。
遊撃手のロハスも左内転筋を痛めており、3回の攻撃では先頭で中前打を放ち、その後二塁走者となるも、ベッツの右中間寄りの中前打で生還できず三塁ストップ。代走を送られた。
そもそもドジャースは先発投手陣のうち、通算212勝を誇るカーショー、今季11勝のストーン、同9勝のグラスノーらが、故障で地区シリーズに登板できない。9日の第4戦は、リリーフ要員を小刻みにつなぐ“ブルペンデー”となる。対照的に、ドジャースの後塵を拝して西地区2位に終わったパドレスは、シーズン中の補強が功を奏し、脂の乗り切った選手も多く、今やドジャースに勝る勢いだ。
■守備妨害ギリギリも「抜け目がなく、教育の行き届いた」マチャドの走塁
また、新井氏はパドレスの“走力”を高く評価する。パドレスはこの日、1点ビハインドで迎えた2回の攻撃で、無死一塁から5番・メリルが痛烈なゴロを放ったが、ドジャースの一塁手フリーマンが好捕。ところが、フリーマンの二塁への送球は一塁走者マチャドのヘルメット後頭部付近を直撃し、チャンスが無死一、三塁に拡大した。この回一挙6点を奪う上で、重大なポイントとなった。
「マチャドはベースカバーに入った遊撃手のロハスの位置を見ながら、斜めに走っていました。『送球が自分に当たったら面白い』と考えていたと思います」と新井氏は指摘する。守備妨害と判定される可能性もあるギリギリのプレーだが、この試合では功を奏した。「うまいと言えば、うまい。抜け目のない走塁でした。パドレスの選手は、プレーヤーとしての教育が行き届いていると感じました」と評した。
さらに、このプレーの直後、無死一、三塁からボガーツが遊ゴロ。ドジャースの遊撃手ロハスは併殺を狙い、まず二塁ベースを自ら踏みに行ったが、一塁走者メリルの到達が一瞬早くセーフ。一塁送球も間に合わず、オールセーフとなった。メリルは弱冠21歳のスラッガーだが、5回に一塁走者として、ボガーツの遊ゴロで二塁封殺された時も、ギリギリのタイミングだった。
「普通なら悠々アウトになるところを、間一髪にする。メリルの走塁はこの日に限らず、目立っています。21歳の彼にそれができることが素晴らしい」と新井氏は称賛する。
ドジャースとしては、第4戦さえしのげば、第5戦の舞台は本拠地ドジャースタジアムに戻る。ムードもよくなるはずだ。崖っぷちの試合では、第1戦で起死回生の同点3ランを放っている大谷への期待が増すことになる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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