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キャッチボールできなくても「やめる子いない」 小学生教え30年、野球離れに抗う“令和の声”

Full-Count / 2024年10月17日 7時50分

選手たちと話す小名浜少年野球教室の小和口有久監督【写真:編集部】

■全国スポ少優勝3回、「小名浜少年野球教室」ベテラン監督が見つめる令和の指導

 時流に合わせた指導は、令和の時代になっていっそう加速する。全国スポーツ少年団軟式野球交流大会で1995年からの2連覇を含めて優勝3回。福島・いわき市の小学生軟式野球チーム「小名浜少年野球教室」を率いて30年の小和口有久監督も、「今」の時代を生きる子供たちに寄り添って指導する。Full-Countでは小学生・中学生世代で日本一の経験を持つ監督に取材。小和口監督の指導のモットーとは。

 低学年と高学年。2チームに分けて活動を行う小名浜少年野球教室には、全体で40人ほどの子どもたちが所属する。野球の技術を上げたい、チームとして勝ちたいと思うだけではなく、入部の目的は「子どもたちによっていろいろですよ」と小和口監督は言う。

「純粋に体を丈夫にしたいと思う子もいるし、子ども同士の交流を増やしたいと思う子もいます。チームに入る目的はさまざま。だから、指導の難しさはあります」

 1994年からチームを率いて30年目になる小和口監督は、ひと昔前とは違う子どもたちの気質を感じ取っている。だからこそ、まずはそれぞれの目的意識を確認してから、選手一人ひとりと向き合うのだという。

 子どもたちの“変化”で言えば、「キャッチボールをやっているかどうかもわからない子どもも入団してきますよ」と笑う。

「以前までは、たとえば公園で親とキャッチボールをやっている子が多かったと思いますが、今はやっていない子が多いですよね。ただ、入団当初はキャッチボールすらできなくても、どんどんと上手くなるんです。そんな中で、ウチのチームには『やめる子』がいない。それが一番、うれしいですし、ありがたいですね」


小名浜少年野球教室の小和口監督【写真:編集部】

■小名浜弁で「ダメだっぺえ~」も、丁寧かつ愛情ある言葉がグラウンドに広がる

 時代が移ろう中で「子どもたちへの言葉がけは変わってきた」とも小和口監督は言う。きっかけは、平成の時代にあった。

「平成25年頃かな。某チームの監督さんが暴言を吐いてクビになった話を聞いて、改めて我々のチームも指導について話し合ったんです。それからですね。子どもたちに対しては、より丁寧な言葉で語りかけるようになった。小名浜弁で『ダメだっぺえ~』と言うこともありますが、決して怒った感じではなく丁寧に(笑)」

 たとえ指導が子どもたちに響いていないと思っても、粘り強く指導することを心掛けているという。

 小名浜少年野球教室には、令和の野球に寄り添った指導がある。長い指導歴を持つ小和口監督は、これからも「大好きな子どもたち」とともに野球の現場に立ち続けたいと話す。

「野球離れが騒がれる現代。大谷翔平選手(ドジャース)の活動もありながら、多くの子どもたちがグラブを手にする機会もあったと思いますが、今はスポーツの現場も多様化しているでしょ。部員を集めるのは大変です。だから、今は団(チーム)を存続することを一番に考えながらやっているのが正直なところです。学童全体で言えば、監督を担う指導者の育成も課題の1つでしょうね」

 そんな中で、チームの目標は過去最高成績である全日本学童軟式野球大会でのベスト8(3回)を超えること。そして「明るく、元気よく、楽しく」をモットーにチームを作っていくことだという。「それが令和の時代のテーマでしょうね」と話す小和口監督は、今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定だ。(佐々木亨 / Toru Sasaki)

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