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「お前は基本がなってない」…覆された野球観 松坂世代監督が実践する“ミスOK”育成術

Full-Count / 2024年10月18日 7時5分

石川・星稜中の五田祐也監督(中央)【写真:編集部】

■全国制覇11度の石川・星稜中…五田祐也監督の「成長を止めない」選手の育て方

 子どもたちのポテンシャルを最大限に引き出すために必要なのは、失敗を恐れない選手育成だ。石川・星稜中は、今春の「文部科学大臣杯第15回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、3年ぶり3度目の優勝を果たした。Full-Countでは小学生・中学生世代で日本一を成し遂げた監督に取材。中学軟式野球で11度の全国制覇を誇る同中学の、五田祐也監督に強さの秘密を聞いた。

 2022年に就任した五田監督は星稜中学・高校のOBで、1998年夏の甲子園では4番打者としてチームを牽引。3回戦では横浜・松坂大輔氏とも対戦している“松坂世代”だ。「あの試合で野球観が変わりました」。名門・星稜でレギュラーを張り、甲子園にも出場と、ある程度の自信を持ち東洋大に進学したが、その思いは一瞬にして打ち砕かれた。PL学園出身で後に近鉄、楽天、阪神でプレーした3歳上の前田忠節氏の守備を見て愕然としたという。

「私も遊撃手として自信はありました。誰にも負けない数のノックを受けてきましたから。ですが、前田さんの守備を見てこれはやばいと。『お前は基本がなっていない』と言われてショックでしたね(笑)。気合でボールを捕れ、気持ちで打てと言われてきましたが、気合や根性だけでは無理だと気づかされました。あの時の思いは指導者になってからも大切にしています」

 トップダウンの指導で駒のように扱われた“昭和の野球”ではなく、選手自身も考え、指導者は一緒になって課題解決に取り組みサポートする。「積極的なミスは全然OK」と伝え、様々なことにチャレンジできる環境を整えている。

「昔はミスをしたらいけない、の考えで動く選手ばかりでしたよね。新しいことに挑戦して失敗したら怒られる。これでは守りに入るだけで上手くはならない。逆シングル、ランニングスロー、初球を積極的に打つ。指導者のやりたいことを押し付けると選手の成長を止めてしまう」


最先端の技術や理論が試合での成果を生んでいる【写真:チーム提供】

■1本バッティングではあえて遅いボールで「成功体験が生まれる」

 成功体験が生まれやすい練習メニューも取り入れている。「1本バッティング」では本番を想定した“生きたボール”ではなく、あえて球速の遅いボールを打つ。これは現役時代に社会人の強豪・ENEOSでプレーした経験を持つ鹿屋陸コーチの発案だという。

「試合形式の練習で投手が投げると、バントも決められないことがある。これでは、失敗できないプレッシャーで選手が萎縮してしまう。緩いボールならある程度、簡単にできます。強く引っ張っての長打や、進塁打なども成功しやすい。守備や走者も多くのプレーが生まれることで練習になります。成功体験が生まれる良い練習だなと思いました」

 その他にも体成分分析装置「InBody(インボディ)」で筋肉量やバランスなどを数値管理。チームでプロテイン摂取の時間を作り、食品メーカーによる保護者向けの栄養講習会も行っている。猛練習だけでは“本当の上手さ”は手に入らない。感覚だけの指導ではなく、最先端の技術や理論を取り入れ時代に沿った育成を行い、チームを強化している。

 星稜中出身の選手たちは高校、大学、社会人、プロ野球の世界でも活躍している。中学生の段階から高いポテンシャルを引き出す五田監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。普段の練習、大会での心構えなどを披露してくれる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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