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震災直後の光景に「野球を再開させたい」 140km投手も育成…東北中学生“躍進”の理由

Full-Count / 2024年10月24日 11時29分

宮城仙北ボーイズの菅原駿【写真:早浪章宏】

■今夏の選手権大会で東北勢初優勝…中学硬式野球・宮城仙北ボーイズは強力な投手陣が売り

 雪国ならではの練習環境が、チームを、中学生たちを強くする。今年8月に開催されたボーイズリーグの「第55回日本少年野球選手権大会」で、東北勢初優勝を成し遂げた中学硬式野球、宮城仙北ボーイズの田中伸次監督が23日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が実施するオンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」に出演。投手育成に定評ある指揮官の“思考”を探った。

 宮城仙北ボーイズは2012年に設立された。愛知県出身の田中監督は、仕事の関係で宮城に移住し、震災後にたまたま車で走っていると、道端で子どもがキャッチボールする姿が目に留まった。まだ復興の最中で野球ができる環境にない中、ひたむきにボールを追いかける子どもたちの姿を目の当たりし「野球を再開させてあげたい」と、チーム作りに着手した。

 田中監督は東北の子どもたちを「気持ちを前面に出すことは難しく、関西や中部に比べるとおしとやかですが、反面、丈夫な体を持った子どもが多い」と評価。厳しい練習にも耐えられる体力を持った選手が多いという。この日、ゲストコメンテーターとして参加した青森山田リトルシニアの中條純監督も、「選手たちはすごく素直。だからこそ指導者は責任が問われる」と、躍進著しい“東北っ子”の特徴を語る。

 冬場は雪が降る東北の気候について、田中監督は「全然ハンデとは思っていない」と断言する。グラウンドの上で野球をやる時間は少なくなるが、その際は約300坪の室内練習場2か所を利用。「中学生の成長する過程では、いい準備期間」と、個々の柔軟性を高め、投手には基礎となるフォーム固めに時間を割いている。


宮城仙北ボーイズの田中伸次監督(右)【写真:川浪康太郎】

■投球フォームで重要視する「体重移動」と「並進運動」

 春先の大会では、常にグラウンドで実戦練習ができる他地域のチームと渡り合うのは困難だが「基礎をどれだけ固められるかで差が生まれる。長い目で見ればプラスになる」と、夏場に向け全国で対等に戦える力が養えるという。チームが特に強化しているのが投手育成。今年の全国大会でも最速140キロ右腕・菅原駿投手を筆頭に8人の投手が活躍した。

 田中監督が投球フォームで重要視しているのが「体重移動」だ。練習では自ら投球する投手の腰を手で押し、体重移動の加速をサポート。球速や制球力を向上させるために必要な「並進運動」をサポートし、体で覚えさせている。ただ、個々の体格や柔軟性によって押す力が変わるため注意が必要になる。選手を長く見ている指導者だからこそなせる業だ。

 中学3年間は高校野球で活躍するための“準備期間”ともいえる。「1日1日を大切に、子どもたちに愛情を注ぎ野球道を邁進していきたい」と田中監督。技術を支える基礎を大切にし、少しでも長く野球を続ける選手を育成していく。(First-Pitch編集部)

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