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両親離婚→女手1つで「金銭的苦労あった」 せがめなかった野球道具…つかんだドラ3

Full-Count / 2024年10月29日 7時10分

ソフトバンクから3位指名の富士大・安徳駿【写真:川浪康太郎】

■ソフトバンク3位指名の最速152キロ右腕、富士大・安徳駿…明かした母への“感謝”

「お母さんを楽にさせたい。元気にさせたい」との思いでプロ野球選手を目指し、遠く離れた岩手で実力を磨いてきた。24日に開催された「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、大学の同一チームから史上最多となる6人(育成含む)が指名された富士大。その1人、最速152キロ右腕・安徳駿投手は地元・福岡のソフトバンクから3位指名を受けた。母子家庭で育ち、「ソフトバンクに入ってくれたらうれしいな」と話していた母の願いを叶えた安徳は、プロの世界でのさらなる恩返しを誓っている。

 安徳は福岡県久留米市出身。ソフトボール経験者の文子さんの影響もあり、小学1年生から野球を始めた。しかし、2年生の頃に両親が離婚し、母のもとで育てられることに。野球は多額の費用がかかるスポーツの上、安徳には1歳下の妹と6歳下の弟がいる。幼心にも「金銭的な苦労は目に見えてわかった」と言い、野球用具をせがむことはせず、特に大会直前の時期などは「新しいグラブが欲しい」と口にするのを我慢した。

 ただ、安徳は「自分の野球人生はお母さんがいなければやってこられなかった」と断言する。3兄妹のために忙しく働きながら、毎日早起きして弁当を作り、学校からの帰宅時間に合わせて夕食を用意してくれた。それでいて常に元気で明るく、子どもの前で弱音を吐いたり、暗い表情を見せたりすることは一度もなかった。「野球をしている姿が好き」。支えてくれる文子さんのその言葉が、何よりも励みになった。

 久留米商業では肘を痛めた影響もあり目立った実績を残せなかったものの、YouTubeで投球映像を見て惚れ込んだ富士大の安田慎太郎監督に声をかけられた。富士大は岩手県花巻市の大学。「大丈夫かな、行っていいのかな」。移動費や学費の負担を考えるとためらいや不安は消えなかったが、そんな時も文子さんが「行っておいで!」と明るく送り出してくれた。

■指名直後に電話で報告…「見に行ける!」分かち合った歓喜

 大学では劇的な成長を遂げ、3年時は全国大会でもアピール。質の高い直球や制球力を評価され、最終的に全12球団から調査書が届いたが、ドラフト前には文子さんが「ソフトバンクに入ってくれたら嬉しいな」と話していたという。母の願い通り、地元球団から上位指名。支配下ドラフトが終わると、育成ドラフトが始まるまでの休憩時間を使ってすぐに文子さんに電話をかけた。

「おめでとう。めっちゃうれしい。見に行ける!」。電話口の母は「いつも通り元気でした」。大学での登板を直接見せられたのは、昨年全国大会に出場した際の1回のみ。常々「野球をしている姿が好き」と言ってくれた文子さんに、地元で、しかも日本最高峰の舞台で投げる姿を披露できる。親子の夢が現実になった瞬間だった。

「すごく喜んでもらえて、1つ親孝行できたと感じました。これからまたプロで活躍して親孝行がしたいです」と安徳。プロの世界へ飛び込む前に、もう1つかなえたい「大学日本一」という目標がある。

 富士大は、ドラフトから2日後に臨んだ東北地区大学代表決定戦で優勝し、明治神宮大会出場を決めた。安徳は仙台大との決勝で1点ビハインドの6回から救援登板し、3回1安打無失点の好投で逆転勝利に貢献。神宮大会には文子さんも応援に駆けつける予定だといい、「お母さんの知らない間に成長できたと思う。4年間頑張ってきたことをしっかりやって、優勝する姿を見せたいです」と意気込む。

 神宮で有終の美を飾り、地元・福岡へ。ドラフト指名は野球人生の通過点。これからも親子二人三脚で歩み続ける。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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