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DeNA東はなぜ指笛を嫌がった? OB捕手は同情、頭にチラついた“サイン盗み”

Full-Count / 2024年10月30日 13時51分

球審と話すDeNA・東克樹【写真提供:産経新聞社】

■野口寿浩氏が分析…大きな音は「サイン盗みを連想して神経質になる」

■DeNA 4ー1 ソフトバンク(29日・みずほPayPayドーム)

 DeNAは29日に敵地PayPayドームで行われた日本シリーズ第3戦で、先発のエース・東克樹投手がソフトバンクを7回1失点に抑え勝利。対戦成績を1勝2敗とした。東は試合中、観客席から指笛が鳴らされたことについて、球審にアピールする一幕があった。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として活躍した野口寿浩氏が背景を分析する。

 問題のシーンはDeNAが3-1とリードして迎えた6回1死一塁で、今宮健太内野手を打席に迎えたところで起きた。観客席から指笛が鳴ったことから、球審にやめさせてほしいとアピール。「試合進行の妨げとなる行為はご遠慮ください」「投手が投げる間際の口笛はご遠慮ください」と場内放送で注意喚起され、球場は騒然とした雰囲気に包まれた。

 野口氏は自身の経験も踏まえ、「おそらくタイミングの問題だと思います。投手は、捕手のサインを見て、投球動作に入った瞬間に大きな音が鳴れば、サイン盗みを連想して神経質になるものです。僕は捕手としてサインを出している側だったので、その気持ちはよくわかります」と説明。「もちろん今回の場合は、応援に来ていたファンの人たちの行為で、他意はないと思いますが、バッテリーが敏感に反応してしまうのも無理はないと思います。特に東の場合は、わかっていても打てない160キロのストレートを投げるわけではなく、配球、コントロール、キレで勝負するタイプですから、なおさらでしょう」と付け加えた。

 今さら言うまでもなく、NPBではグラウンド内でのサイン盗み、スタンドなどからのスパイ行為を禁じている。時には、ベンチやスタンドで鳴らされる音や、二塁走者の振る舞いなどが、捕手のサインを盗んで打者に伝えているのではないかという疑念を生むケースがある。野口氏は「こうした件に関しては、実際にサインを盗んでいるかどうか以前に、攻撃側が疑われるような行為を厳に慎むことが大切だと思います」と強調する。

■大歓声の中で指笛の音を察知した東は「すごいと思います」

 一方で、「あの大歓声の中で、指笛の音を察知した東はすごいな、とも思います」とも。それほど全方位に神経が研ぎ澄まされていたのかもしれない。

 この日のDeNAの勝因が、東の“粘投”にあったことも間違いない。7イニングを投げて10安打を浴びながら、四死球を与えず、失点は初回の1点のみ。「救援した伊勢(大夢投手)、森原(康平投手)を含め、この試合で1度も先頭打者の出塁を許さなかったことがポイントでした」と野口氏は指摘した。

 東は今月12日、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦に先発し、4回3安打無失点だったが、自身の打席でヒットを放った際の走塁中に、左太もも裏を痛めて交代。日本シリーズでの登板が危ぶまれていたが、0勝2敗で迎えた第3戦で見事に好結果を出した。

「指名打者が採用され、投手が打席に立たなくて済む敵地だからこそ、復帰戦の舞台に選ばれたのではないでしょうか」と野口氏。注目されるのは、シリーズ中にもう1度登板機会があるかどうかだ。「もちろん患部の状態や体調次第ですが、DeNAの首脳陣は、第7戦までもつれ込んだ場合には、中4日で先発してほしいと考えていると思います」。チームを窮地から救ったエースが、勝手知ったる本拠地・横浜スタジアムのマウンドに上がることはあるのか──。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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