和田毅、松坂大輔は「僕らの太陽」 世代“最後の男”が降ろした重荷…届かなかった背中
Full-Count / 2024年11月6日 7時20分
■5日に引退会見を行ったソフトバンク和田「悲しんでくれていました」
ソフトバンクの和田毅投手が5日、みずほPayPayドームで引退会見を行った。今年2月に43歳を迎えた大ベテランは、「松坂世代」最後の1人として最後の瞬間まで懸命に腕を振り続けた。22年のプロ生活を終えた左腕は、世代の象徴だった松坂氏を「常に僕らの太陽」と表現した。
1981年2月21日生まれの和田は、横浜高で甲子園春夏連覇を果たした松坂大輔氏と同学年にあたる。2021年限りで現役引退した“盟友”には事前に引退の報告をしていたといい、「本人に連絡したら、僕が辞めることに対して悲しがってくれていました」と明かした。
和田にとって松坂氏は常に背中を見続けてきた存在だった。高校時代は「雲の上の存在すぎて、同学年なんて意識は全くなかった」。プロ入りも、そしてメジャーリーグ挑戦も松坂の方が先だった。
「僕には(松坂)大輔のような才能はなかった。だからこそ必死に努力し、天才に近づくための挑戦を続けてきたんです」。身長179センチ、体重81キロとプロでは決して大きくはない体。球速も150キロに満たなくても、ボールの出所が見えにくい独特のフォームに巧みな投球術を身に着け、最終的には世代の誰よりも長くプロ野球選手であり続けた。
松坂氏が記録した日米通算170勝に残り7勝で迎えた今季、自身の誕生日には強い意気込みを示していた。「自分はまだ抜けるチャンスがあるので、それを抜きたいという、ただ単純にその気持ちだけです。記録を抜けた時には、また(松坂)大輔に報告できればなと思います」。
今季は2勝に終わり、日米通算165勝。わずかに松坂氏の記録には及ばなかった。会見後、帰路に就く途中にぼそりとつぶやいた「やっぱり、170という数字は遠かったなと。終わってみて思いましたね」。盟友に肩を並べることはできなかった。それでも、松坂氏の背中を追い続けてきたことが、和田毅のキャリアにつながったこともまた事実だ。
会見ではこんなことも口にしていた。「松坂世代の全員が引退したので。なんかやろうよっていういう話はしました」。プロ野球選手としての重荷を肩から降ろし、少しほっとした表情を見せた和田。ようやく気兼ねなく、友人同士としての時間を楽しむことができるに違いない。(長濱幸治 / Kouji Nagahama)
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