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バット替えたら「全く打てない子も」 攻撃的から一転…小学生に影響する“高反発禁止”

Full-Count / 2024年11月11日 7時5分

埼玉・山野ガッツの練習の様子【写真:高橋幸司】

■埼玉の学童野球チーム・山野ガッツは守備も重視…高反発バット規制で「野球も変わる」

 同じチームでも、学年ごとに方針がガラリと変わる。埼玉県越谷市の学童軟式野球チーム・山野(さんや)ガッツは、今夏、超攻撃野球を掲げた6年生メンバーで、“小学生の甲子園”「高円宮杯 第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場した。県大会では6試合で20本塁打、99得点、本戦でも初戦で14点を奪い、うれしい初白星を挙げた。それでも、“完全学年別”システムを敷くチームで、5年生チームのヘッドコーチを務める鍋島匡太郎さんは、「6年生チームとは全く別の方針でやっています」と明かす。その要因の1つが、“飛ぶバット”の使用制限だ。

「上の代は『10点取られたら11点取り返す』というチームなのですが、5年生は守備を大事にしながらやっています。来年からバットが替わり、野球も変わると思っていて、打てなくなる分、守備をしっかりやらないと勝てないと思っています」

 学童野球では2025年より、一般用(中学生~大人)バットのうち、打球部にウレタン、スポンジなどの弾性素材を付けた高反発バット、いわゆる“飛ぶバット”の公式戦での使用が禁止される。飛距離が出て打球速度も速いため、守備に就く選手たちの安全面を考慮し、改革に踏み切った。山野ガッツの5年生たちは、最上級生となる来年に備え、練習から“飛ぶバット”を使用しないことを推奨している。

「先日も全国クラスのチームの方と話しましたが、『バットを替えたら全く打てなくなって、困っています』と言っていました。飛ぶバットは大人用なので少し重いのですが、軟式少年用のバットは軽いので“振り感”がおかしくなり、替えた途端に打てなくなる子も多いです。慣れるのには少し時間がかかる印象です」


“低反発バット”を見据え守備・走塁にも力を入れる【写真:高橋幸司】

■高めに浮いた球を逃さずに強振…低反発でも「思い切り振って飛ばす意識を」

 移行期となる現在は、現場でも多少の混乱があるようだ。今秋に行われた大会の試合前に行われた道具チェックで、連盟関係者から「高反発バットはこの大会から使えません」と指摘を受けた。ただ後日、別会場で同じ大会の試合を行った際、対戦チームは普通に“飛ぶバット”を使用していたという。

「前の会場では使えないと言われたことを関係者に伝えたら、『そんな規定はないですよ』と。こちらは使えないと思って持参しなかったので、ちょっとモヤモヤが残りましたね」

 それでも、来年から飛ぶバットを使用できなくなる事実は変わらない。打撃練習では、少しでも飛距離を出すために、高めに浮いてきた球を逃さずに強振することを徹底。守備面を大切にしているが、6年生の強打は間違いなく刺激になっている。

「5年生にしては、みんな振りはいいと思います。6年生になれば体ももっと大きくなって、筋肉もついてくる。振り方とかはどうでもいいと思っていて、今のうちは、思い切り振って飛ばすことを大切にしてもらいたいです」

 バットは替われど、「遠くに飛ばしたい」という欲求がなくなれば、成長はそこで止まる。子どもたちの無限の可能性を信じているからこそ、フルスイングを止めさせることはない。(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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