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引退から5年も…異例のトライアウト参戦 ロッテ→26歳大学院生の“決断”「中途半端ではない」

Full-Count / 2024年11月14日 7時40分

元ロッテ・島孝明さん【写真:編集部】

■14日に行われる12球団合同トライアウトに参加する島孝明氏

 ロッテを2019年に戦力外となり、引退していた島孝明氏が14日にZOZOマリンスタジアムで行われる「プロ野球12球団合同トライアウト」に参加する。プロ復帰が目標ではないが、「僕も中途半端な気持ちではない」と決意。“記念受験”との声も覚悟し、伝えたい思いがある。

 島氏は、東海大市原望洋高から2016年ドラフト3位でロッテ入り。しかしフォームを大きく崩したこともあって3年間1軍登板はなく、2019年に戦力外通告を受けた。その後引退を決断し、その後はセカンドキャリア特別選考入試で国学院大に進学。2024年4月からは慶大大学院に在学している。

 挑戦を決めたのは10月。トライアウトが今回で最後になることを聞き、思いがこみ上げた。「最後に挑戦しておきたい。現役時代、最後マウンドで投げられずに引退したこともあって……。ずっと心の中で引っ掛かっていた部分があった」。古巣ロッテの本拠地。高校時代には脚光と歓声を浴びたマウンドだが、プロ入り後は1軍の選手として立つことなく引退。ファンへの感謝も伝えられず悔いが残った。

 高校時代にはU-18にも選ばれ、今井達也投手(西武)、早川隆久投手(楽天)らとアジア選手権に出場した。153キロ右腕として鳴り物入りでプロ入りしたが、以降は“自分との闘い”だった。1年目にイップスに陥り、3年で戦力外に。当時は投球するのが難しい状態で、トライアウトも受験しなかった。

 引退から5年後の異例の挑戦になるが、「今、実際投げられるようになった姿をトライアウトの場で皆さんに見せれたら、ひとつ恩返しになるんじゃないかなと。応援してくれるファンもたくさんいたし、そういう人たちに向けてアクションを取りたいと思っていた」と思いを明かした。

■1年間、慶大野球部相手に投球…球速は145キロまで回復

 今春からは慶大大学院に進学して投球動作について研究している。国学院大時代はボールを触る機会は少なかったが、大学院で友人の研究を手伝う中で、慶大野球部の選手相手に投球。久しぶりでも、球速は140キロを計測した。

 引退から4年が経ち、現役時代の投球フォームの苦しみからも解放された。「なんかリセットされた感じがありましたね。そこまで悩むことはなかったです。(引退したときより)今の感覚の方がいい」。U-18にも選ばれた高校3年時のような感覚を取り戻しつつある。

 今年は研究の手伝いで3日に1度は慶大野球部相手にマウンドで投球。Bチームがメインだが、「本気」で腕を振ってきた。10月にトライアウト参加を決断すると、引退後10キロ減った体重を徐々に戻し、球速は145キロまで回復。5年ぶりにタンスからユニホームを引っ張り出した。

 対戦するのは、NPB再挑戦を目指す選手ばかり。“目標”が周りと違うのも重々理解している。「周りの人も人生をかけてやっている。僕も中途半端な気持ちではない。当然やるからには出せるものを出し切って、やり切りたい」。ファンや応援してくれた家族へ、伝えられなかった感謝を、最後のマウンドで体現する。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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