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道具代は最小限、当番は「対象外」 2年で3倍増…少年野球の“敷居低い”部員勧誘

Full-Count / 2024年11月15日 7時5分

七郷少年野球クラブの低学年年代の練習の様子【写真:川浪康太郎】

■コース新設に“お試し期間”…仙台市・七郷少年野球クラブが部員確保に採り入れた工夫

 野球の競技人口が減少の一途をたどる昨今、多くの少年野球チームが部員確保に手を焼いている。そんな中、宮城県仙台市の小学生学童野球チーム「七郷少年野球クラブ」は、直近2年間で部員数を3倍近くまで増やした。4年生以下の育成・キッズ年代を専属で指導する亀浦優佑監督は「工夫の仕方次第で増やすことはできる」と強調する。その「工夫」の1つが、「ビギナーコース」の新設だ。

 七郷少年野球クラブは1971年創部。「スポーツ少年団軟式野球交流大会」では県で2度優勝し、全国大会出場。2020年には「全日本学童野球大会マクドナルド・トーナメント」県大会で3位に入るなど実績を残している。

 部員を高学年と低学年に分けて指導する少年野球チームは珍しくない。七郷少年野球クラブは3年生以下の「キッズ」、4年生以下の「育成」、5年生以下の「ルーキー」、6年生以下の「メジャー」の4つに分かれている。2022年1月時点で4カテゴリー合わせて18人だった部員が、現在は51人まで増えた。

 中でも力を入れたのが、キッズ年代の拡充だ。元々ある「キッズ」の中に、今年から「ビギナーコース」を新設。「気軽にグラウンドに来てもらい、野球をして遊んでもらう」ことを目的に設置したコースで、「キッズ」の選手は「育成」の練習や試合、平日夕方の練習に加わる機会もあるが、ビギナーコースの選手は土日に行われる「キッズ」の活動のみに参加する。

 ビギナーコースはいわば「お試し期間」。亀浦監督は「ここで野球をしながらほかのスポーツをやるのもいいですし、希望があればほかのチームを見にいくこともできる。しつこく『入ってください』と言うことはしていません」と話す。


育成・キッズ年代を指導する亀浦優佑監督【写真:川浪康太郎】

■初期費用軽減に「当番」免除…気軽に入れる野球の“入り口”

 ビギナーコースには現在、4歳から小学2年生までの16人が在籍している。人気の要因は「敷居の低さ」にある。

 子どもが野球を始める際、保護者の懸念材料となるのが道具代などにかかる多額の費用。初期費用を最小限に抑えようと、ビギナーコースの選手はユニホーム、セカンドユニホームを購入せず、指定のTシャツを着用して試合や練習に参加する。ほかにもビギナーコースの選手の保護者は「当番」の対象から外すなど、保護者の負担を軽減するための工夫を施している。

 さらに野球以外の習い事や旅行、その他家庭の用事はチームの活動よりも優先してもらう。あくまでも狙いは「クラブの雰囲気や野球の楽しさを知ってもらう」こと。時間をかけて吟味した上で正式部員になれば、親子ともに安心して「メジャー」まで駆け上がれる。

「野球をやりたいという子には門戸を広げておきたい。ここに来ればみんなと一緒に野球をして遊べる。そういう環境づくりを続けていきたいです」と亀浦監督。野球の「入り口」の設け方は、どの少年野球チームにとっても部員増加の重要なポイントの1つとなるだろう。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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