難しいルール不要…初心者も盛り上がる「野球型ゲーム」 部員3倍増を実現する“仕掛け”
Full-Count / 2024年11月21日 7時5分
■体験会は“イベント性”重視で「繰り返し来てもらう」…七郷少年野球クラブの取り組み
宮城県仙台市の少年野球チーム「七郷少年野球クラブ」は、直近2年間で部員数を3倍近く増やし、注目を集めている。部員確保を進める上で欠かせないのが「体験会」だ。通常の練習に参加させるスタイルが主流の中、七郷少年野球クラブは「イベント性」を重視した体験会を実施している。小学生に、野球へ興味を持ってもらうポイントとは何か。部員増に奔走した育成・キッズ年代の亀浦優佑監督に、その中身と狙いを聞いた。
亀浦監督が就任した2022年1月時点の部員数は18人。選手を受け入れている仙台市立七郷小、同市立荒井小に計約1200人の児童が在籍していることを踏まえると少なく感じ、「野球をやりたい子はもっといるはず」と、50人を目標に「発掘」に取りかかった。現在は51人まで増え、約2年半で目標人数に到達した。
亀浦監督は体験会を開催するにあたって「野球の前段階の『野球の道具を使って遊ぶ』というところから始めよう」と考え、「野球盤」を模したゲーム形式のイベントを企画するなどさまざまな工夫を凝らした。一度野球を離れ、棒で木製ピンを倒すフィンランド発祥の「モルック」から体験させることもある。
また「1回の体験会で入部を決めてもらおうとするのではなく、何回も繰り返し来てもらう」ことを心がけており、体験会後は次の練習や試合などを案内し、なるべく間隔をあけずに参加するよう呼びかける。1回目は遊び感覚で野球に親しんでもらい、徐々にチームの雰囲気を伝える。
簡単なルールと点の取り合いで笑顔が生まれる【写真:川浪康太郎】
■野球以上に激しい点の取り合い…「バックホームゲーム」で生まれる笑顔
中でも力を入れているのが、「バックホームゲーム」と呼ばれるベースボール型ゲームだ。NPB主催の野球振興イベントで実施されているものを参考に採り入れ、体験会だけでなく通常の練習でもメニューに組み込んでいる。
攻撃側の打者はバッティングティーに乗せたボールを打ち、ベースランニングをする。守備側は捕手以外は全員外野を守り、打球を処理してマウンド付近に移動した捕手へ返球する。直接捕球してもアウトにはならない。返球されるまでに走者が一塁まで到達すれば1点、二塁なら2点、三塁なら3点、本塁まで到達できれば4点が加点される。
安打性の当たりでなくとも進塁したり、得点を挙げたりする経験を積むことができる。野球の試合以上に激しい点の取り合いとなるためゲーム性も高く、子どもが「楽しさ」を味わうのに適した取り組みと言えるだろう。取材日もバックホームゲームが行われ、選手たちは終始笑顔でプレーしていた。
今後も「各学年10人ずつ」程度を維持したい考えの亀浦監督。「部員が友達を連れてきてくれたり、親御さんがママ友に誘ってくれたりしてここまで増えた。あとは来てくれた時にどういうものを提供できるか、野球を続けたいと思ってもらえるかだと思います」。これからも子どもが野球を始め、続ける環境を整えるための試行錯誤を重ねる。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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