低学年の難関…“飛び出しアウト”をどう防ぐ? 満塁想定から伝える「得点の醍醐味」
Full-Count / 2024年11月22日 7時5分
■野球を楽しむためにも“走塁の基本を徹底”「なぜアウトか、わからないままは残念」
近年大幅に部員数を増やしている宮城県仙台市の少年野球チーム「七郷少年野球クラブ」は、2020年の「全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」宮城県大会で3位に入るなど、伝統と実績を持つチームでもある。現在、小学校4年生以下の育成・キッズ年代の練習で重視しているのが「走塁」の指導。同年代を率いる亀浦優佑監督の「得点する楽しさを味わってもらいたい」との狙いがある。
「落ちた! 落ちたら行くんだよ! ゴーゴー! 落ちるなと思ったら早めに離れよう!」
10月中旬、七郷少年野球クラブが練習する仙台市立七郷小のグラウンドを訪れると、亀浦監督ら指導者陣の威勢の良いかけ声が響き渡っていた。3年生以下の選手たちが取り組んでいたのは走塁練習。満塁の場面を想定して各塁に複数人走者を置き、ノッカーがフライを上げてフェアゾーンに落ちた場合は進塁し、守る野手が捕球した場合は帰塁する。一見シンプルだが、野球を覚えたての低学年にとっては簡単ではない動きだ。
「この年代がプレーするティーボールは満塁から始まる。フライで飛び出してしまうとアウトになるんです。なぜアウトになるかわからないままベンチに戻るのは残念だと思い、『ボールが自分より遠くなったら走れるよ』『フライは戻らないといけないよ』などの基本を何度も教えています」
勝利にこだわるのはもちろん、一番の目的は子どもたちに「得点する楽しさを味わってもらう」こと。実際、選手たちは本塁まで到達するとうれしそうな表情を浮かべていた。
本塁に向かう子どもたちは皆笑顔に変わる【写真:川浪康太郎】
■走者複数、内外野に守備にも選手配置…独自の走塁練習に手応え
七郷少年野球クラブには現在51人の部員が在籍しており、3年生以下も20人以上いる。複数人の走者を置き、内外野の守りにも選手が就くこの練習は、部員数が多いからこそ行える練習だという。実戦感覚を養いながら、走塁と同時に守備も鍛えることができるのも利点の1つだ。
人数が少ない時は上の年代でのプレーに備え、二、三塁などを想定して実施する。その際はノッカーがゴロを打ち、「内野ゴロだったら本塁に突っ込まなくていい」などの状況に応じた指示を送る。「キャッチャーがはじいたら進塁する」といった基本の徹底も忘れない。
野球を楽しんでもらいたいからこそ、鍛えるべきは走塁。独自の走塁指導について「まだ理論化されたものではないですけど……」としつつ、「1年生でもフライで戻ることなどができるようになってきて、徐々に効果は感じている」と手応えをつかんでいる。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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