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大谷翔平を輩出した東北が「アツい」 スカウト語った理由…話題を呼んだドラフト6人指名も

Full-Count / 2024年11月23日 8時10分

富士大・麦谷祐介(左)と佐藤柳之介【写真:加治屋友輝】

■オリのドラ1・麦谷「周辺には、いい意味で何もなくて野球に集中できる環境」

 東北がアツい──。岩手県花巻市に所在地を置き、10月24日のドラフト会議で同一チームとして史上最多タイの6人が指名され話題になったのが、富士大だ。明治神宮野球大会・大学の部では、22日の初戦で創価大に0-3と零封され敗退したが、改めて“プロから求められる”理由に注目が集まっている。

 最後の試合はあっけなかった。ドラフト会議で指名された6人のうち、オリックス1位の麦谷祐介外野手は「2番・中堅」でスタメン出場するも4打数無安打、広島4位の渡邉悠斗捕手は「4番・一塁」で4打数1安打、巨人育成1位の坂本達也捕手は8番で3打数無安打に終わり、広島2位の佐藤柳之介投手は先発して4回3失点だった。ソフトバンク3位の安徳駿投手とロッテ育成3位の長島幸佑投手には登板機会がなかった。

 麦谷は試合後、「“4の0”で、最後の試合では何もできなかったという印象しかありません」と唇をかみつつ、「安田(慎太郎)監督に声をかけていただいて富士大に来て、ここまで育てていただいた。それだけに勝ちたかったですが、まだ恩返しできるチャンスはこれから先まだあると思うので、明日からでも、すぐに練習したいです」と気持ちを切り替えた。

 今年の大量6人の指名が象徴的でだが、これまでも富士大は、ソフトバンク・山川穂高内野手、西武・外崎修汰内野手、日本ハム・金村尚真投手ら一流選手を数多く輩出しきた。麦谷はその要因を「練習する設備が整っているのはもちろんですが、周辺はいい意味で何もない。本当に野球に集中できる環境なのがいいのではないかと思います。それに安田監督も“選手ファースト”で接してくれて、やりやすいです」と論じる。

 一方、楽天の井上純アマスカウトは「東北地区だけでなく、沖縄を含めて全国からいい選手を発掘し集めています。“スカウティングの勝利”という面があるのではないでしょうか」と分析。さらに「最近、東北自体がアツいです。東北地方は小、中学生にもいい選手が増えていると注目されているようですよ」と付け加えた。

■岩手から菊池雄星、大谷翔平、佐々木朗希を輩出

 井上スカウトは「僕はこれまでに楽天の小学生向けアカデミーや、中学生の東北楽天シニアに関わってきたため、侍ジャパンの井端弘和監督からご連絡をいただき『東北の中学生を紹介してほしい』と言われたことがありました」と明かす。

 井端監督は侍ジャパンのトップチームと中学生世代のU-15代表の監督を兼務している。井上スカウトが推薦した大宮翔内野手は東北楽天リトルシニア、砂涼人内野手は岩手・洋野リトルシニアに所属し、2人とも8月にコロンビアで行われた「WBSC U-15 ワールドカップ」で侍ジャパンU-15代表の優勝に貢献した。

 実は前出の富士大・麦谷も宮城県仙台市出身で、中1の時に設立されたばかりの東北楽天シニアに、選考会を経て第1期生として入団した経緯がある。楽天が東北に根を張り、小中学生の育成に取り組んでいることも、地域の野球少年のレベルアップに一役買っているかもしれない。

 世界最高峰のメジャーリーグも、菊池雄星投手、大谷翔平投手に佐々木朗希投手を加えた“岩手県出身トリオ”が席巻しそうな勢い。もはや東北の野球界から目が離せない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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