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大会打率.667&来秋ドラ1候補も… 創価大の長距離砲に監督が挙げる3つの課題

Full-Count / 2024年11月25日 8時20分

環太平洋大戦の2回に中前適時打を放った創価大・立石正広【写真:加治屋友輝】

■創価大・立石は4日前は“逆方向”の右翼、この日は左翼へアーチを描いた

 これはもう“本物”だ。創価大は24日、「明治神宮野球大会・大学の部」で環太平洋大との準決勝に12-8で勝利し、初の決勝進出を果たした。早くも来年のドラフト1位候補といわれる右のスラッガー、立石正広内野手(3年)は「3番・三塁」で出場し、左翼席中段への2ランを含む3打数3安打3打点2四球で“出塁率10割”。今大会3試合で通算打率.667(12打数8安打)の猛打を振るっている。

 創価大が初回に一挙4点を先取すれば、環太平洋大は2回に4点を奪って追いつく壮絶な打ち合い。立石は同点で迎えた2回1死二塁のチャンスに、基本通りのピッチャー返しで中前適時打を放ち、勝ち越し点をもたらした。4回先頭での第3打席にも、二塁強襲安打をマーク。しかし、これはまだ“前奏”に過ぎなかった。

 10-8の接戦のままイニングは7回。1死三塁で第5打席に入った立石が、内角高めに来た初球の141キロのストレートを引っ張ると、打球は左翼席中段へ。打った瞬間にそれとわかる2ランで、勝利を決定づけた。「自分でもびっくりするような数字が残っています」とはにかむ。

 4日前の佛教大との1回戦では、右翼席への2ラン、右翼フェンス直撃の二塁打を放ち、“逆方向”へ伸びる打球を印象付けたが、この日は正反対で、打撃内容が実に多彩だ。創価大の佐藤康弘監督も「大学に来てからどんどん体が大きくなり、打球速度も上がっています。打った時の音も違う。本当にすごいと思います」と絶賛する

 とはいえ、立石が対象となるドラフトまでには、あと約1年ある。今後レベルアップすべき課題は何か。佐藤監督は「ウチでは一番いい打者ですが、侍ジャパン大学代表などに行けば、いい打者がいっぱいいます。立石はこの夏に4番を打たせてもらいましたが、結果を出せませんでした(7月にチェコで行われたプラハベースボールウィークの全4試合で4番を務めるも、14打数2安打で打率.143)」と指摘する。「真面目すぎるくらい真面目な選手なので、日頃からレベルの高い人たちとやれば、もっとうまくなると思います」とも付け加えた。ドラフト前に侍ジャパン大学代表など、レベルの高い選手の中で揉まれる環境を望んでいる。

■「チーム事情によっては外野に持っていっても面白い」

 また、佐藤監督から見ると、立石の「真面目で謙虚すぎるところ」が少々心配だという。今大会への出場権を争う「関東五連盟代表決定戦」で、無死一、二塁のチャンスに打席へ向かう立石に、高口隆行コーチ(元日本ハム内野手)があえて「どうする? バントで送るか?」と声をかけたことがある。「『打ちます』とか『打たせてください』という強い言葉を引き出したかったのが高口コーチの真意でしたが、立石は『う~ん』と迷ってしまったそうです。チームのためには……とか、いろいろ考えてしまうようなのです」と佐藤監督は苦笑する。

 勝負の世界であるプロでやっていくなら、「黙って俺に任せておけ」というくらいの“俺様気質”があってもいいのかもしれない。佐藤監督は「僕はその方がいいと思う。そう言ってほしかったです」とうなずいた。

 一方、立石に熱視線を注ぐ楽天・井上純アマスカウトは「今大会で2盗塁を決めているように、180センチ、85キロと大柄ではありますが、足もいったんスピードがつくと速い。ドラフトまで、まだ1年もありますが、3位までに消えるのは間違いないと思いますし、1位になる可能性もあると思います」と評価する。

 あえて課題を挙げるとすれば「三塁守備のフットワーク、スローイングには向上の余地があると思います」。ただし、「肩自体は滅法強いので、チーム事情によっては、外野に持っていっても面白いかもしれません」と見ている。

 課題はあっても、底知れないポテンシャルを秘め、魅力いっぱいの立石。スケールの大きい長距離砲だけに、残りの1年でどう成長し、どんな変貌を遂げるのか、楽しみでしかたがない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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