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“井端ジャパン初黒星”2つの敗因 専門家が指摘…台湾に見せつけられた執念

Full-Count / 2024年11月25日 10時55分

準優勝に終わった侍ジャパン・井端弘和監督(右)【写真:中戸川知世】

■井端弘和監督は就任後17試合目にして国際試合初黒星を喫した

 野球日本代表「侍ジャパン」は、24日に東京ドームで行われた「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」の決勝でチャイニーズ・タイペイ代表に0-4で敗れ、準優勝に終わった。侍ジャパンのトップチームが国際大会で黒星を喫するのは、2019年の前回プレミア12の2次リーグ・米国戦以来で、連勝が「27」でストップ。井端弘和監督にとっては、就任後17試合目にして国際試合初黒星となった。敗因はどこにあったのか──。

「投手が打たれて、野手が打てなかったから負けた、と言えばそれまでですが、そこには原因があったはずです。僕としては2つほど、目についたところがありました」。こう分析するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

「この大会を通じて、日本の他の投手にも言えることだと思いますが、この日の先発の戸郷(翔征投手・巨人)は配球がストレートとフォークに偏り過ぎていたと感じました」と指摘する。「国際大会の決勝という舞台だけに、より自信のある球に頼りたくなる心境も理解できますが、チャイニーズ・タイペイの打者は、おそらくデータが頭に入っていたこともあって、追い込まれてからボールになる低めのフォークに手を出さなかった。持ち球のカーブ、スライダー、カットボールをもっと混ぜていれば、相手打者の反応も変わっていたはずです」と惜しんだ。

 戸郷は立ち上がりの初回を打者4人、ストレートとフォークの2種類のみの計10球で無失点に抑えた。4、5回にスライダーが増えたが、最終的に95球中、ストレートが42球(44.2%)、フォークが32球(33.7%)、スライダーが19球(20.0%)、カーブが2球(2.1%)。両チーム無得点で迎えた5回、先頭の「8番・捕手」リン・ジャーチェンに右翼席へ先制ソロを被弾し、なおも1死一、二塁とされた後、3番のチェン・ジェシェンに右翼席へ3ランを放り込まれた。5回4失点の結果が残った。

■相手の1番打者はダブルスチールを決め、ホームスチールまで狙った

 さらに「日本の投手はインコースへの投球が少なかったとも感じました。特に戸郷の時に、捕手が内角に構えたのが果たして何球あったかと言うと、僕の見たところではわずか2~3球で、そのうちの1球を3ランされました」とも指摘。「あのピンチでカウントは3-2。ほとんど投げていない内角へ投げようとして、甘くなるなという方が無理でしょう」と戸郷に同情する。

「日本のバッテリーが内角に投げきれなかったのは、打たれたくないという“恐怖心”が普段より高かったからだと思います。対照的に、技術的には日本に劣るチャイニーズ・タイペイの投手は、すっぽ抜けのコントロールミスも含めて、内角にどんどん投げていた。結果的に、日本の打者は微妙に打撃を狂わされていたと思います」と付け加えた。

 また、年齢制限のない主要国際大会で初めての優勝に漕ぎつけたチャイニーズ・タイペイからは、強い執念が感じられた。7回先頭の1番打者チェン・チェンウェイが左前打で出塁し、次打者の右前打で二塁に進塁すると、1死後、一塁走者とともにダブルスチールを決めた。さらに、マウンド上の隅田知一郎投手(西武)がロジンを手にしようと背中を向けた瞬間、ホームスチールを狙ってスタート。隅田が察知したため三塁へ帰塁したが、相手のわずかな隙も見逃さない姿勢がうかがえた。野口氏は「彼は韓国の盗塁王といわれていますが、この大会では1つも盗塁をしていなかった。日本との決勝まで隠しておいて、相手の警戒が少々緩んだタイミングで出してきたのではないでしょうか」と相手側の深謀遠慮に目を丸くした。

「チャイニーズ・タイペイは前日(23日)の日本戦に予告先発するはずだったリン・ユーミンを、罰金を払ってまで決勝戦の先発に変更したことを含め、優勝するために使える手は全て使った印象です」と評する。

 村上宗隆内野手(ヤクルト)、岡本和真内野手(巨人)らを故障で欠き、若手中心のメンバーで臨んだ侍ジャパンも死力を尽くしたが、大会連覇に届かなかった。この“借り”は、2026年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で必ず返してくれるはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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