高1なのに…大学が異例のスカウト 逸材に驚愕した6年前、異次元の広島ドラ1の才能
Full-Count / 2024年11月26日 10時6分
■準決勝&決勝は中軸3人がスタメン外も…史上5校目の4冠達成した青学大
明治神宮野球大会・大学の部決勝が26日に神宮球場で行われ、青学大が4-3で創価大に勝利。4度目の決勝進出で大会初優勝を果たし、春と秋の東都大学野球リーグ戦、6月の全日本大学野球選手権と合わせて、“4冠”を達成した。2008年の東洋大以来、史上5校目の快挙となる。
指揮官の安藤寧則監督は試合終了直後、グラウンド上でのインタビュー中に思わず感涙。声を震わせた。「昨年のこの大会は決勝で負けて、3年生だった佐々木(泰内野手)などが悔しくて泣いていた。その彼が主将として優勝を果たし笑っているのを見て……」と感慨に浸った。
昨年も春・秋のリーグ戦と全日本大学野球選手権を制し、最後の明治神宮大会も決勝まで駒を進めた。しかし、慶大に0-2で敗れ、4冠に届かなかった。
今年もまた、今大会で大きな試練に見舞われた。クリーンアップトリオが全員、スタメンから消えたのだ。本来3番を打つ小田康一郎内野手(3年)は秋季リーグ中に右手首の有鈎骨を骨折し、今大会はベンチにも入れなかった。10月のドラフト会議でロッテから1位指名された4番・西川史礁外野手も死球を受けて右手ひとさし指の骨にひびが入り、今大会は代打出場にとどまった。
広島から1位指名された5番・佐々木は、今大会初戦の福岡大戦(22日)に「4番・三塁」で出場していたが、プレー中に左肩を脱臼。患部をテーピングで固く巻き強行出場を続けたが、準決勝と決勝は欠場。主将としてベンチに入りナインを鼓舞したが、出場できる状態ではなかった。
これほどの緊急辞退にも、安藤監督は「3人がいなくても、チーム力が落ちたとは思っていません。誰が欠けても戦えるように、いろいろ想定をしながら練習をさせてきました。誰かが怪我をすれば、鼻息を荒くして控えている選手がいます」と動揺を見せなかった。
■涙の安藤寧則監督…自ら高校に足を運び選手を“発掘”
いわば“控え”中心のメンバーでも日本一になれたほどの分厚い選手層は、安藤監督自身が丹念なスカウティングでつくり上げたものだ。全国の高校生の試合や練習に、労をいとわず足を運ぶ。「ウチには専門のスカウトはいません。僕は絶対に自分の目で見たいと思っています」と語り、「野球選手としての技術はもちろんですが、性格を含めてウチの文化に合うかどうかを考えながら、高校生を見ます。合わなければ、お互い不幸になりますから。基準をひとことで言うなら、“一緒に野球をやりたいと思えるかどうか”ですかね」と選手発掘の秘訣の一端を明かす。
佐々木とは、県岐阜商高のグラウンドで出会い“ひとめぼれ”したという。「打撃練習ですごい打球を飛ばしていて、しかも打ち損じが1球もなかった。後から1年生(当時)と聞いて、関係者に即『お願いします』と頭を下げました」と満面に笑みを浮かべながら振り返る。
安藤監督自身は青学大在学中、学生コーチを務め、3年生の秋には高等部野球部の監督に就任し、20年間務めた。2019年から、当時は2部リーグに低迷していた青学大を率い、“常勝軍団”に育て上げた。
青学大からは昨年のドラフトでも常廣羽也斗投手が広島、下村海翔投手が阪神から1位指名され入団した。2年連続で複数の1位指名選手を輩出したのは、史上初の快挙である。
チームには来年も、今大会の決勝に先発して8回11奪三振2失点の快投を演じた最速152キロ右腕・中西聖輝投手(3年)、東海大菅生高時代から注目されていた150キロ右腕・鈴木泰成投手(2年)、秋季リーグでMVPに輝いた渡部海捕手(2年)ら、楽しみな逸材が残る。そして監督はまた、新たな選手発掘のために全国を行脚する。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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