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打率0割台、HR&打点なしも「彼の実力」 年俸大幅減の元ドラ1…幹部が与えた“試練”

Full-Count / 2024年11月27日 7時20分

契約更改交渉に臨んだ西武・渡部健人【写真:宮脇広久】

■西武・渡部健人は350万円減の年俸1250万円で更改

 屈辱が覚醒のきっかけとなるか。来季5年目を迎える西武・渡部健人内野手は26日、球団事務所で契約更改交渉に臨み、350万円減の来季年俸1250万円(金額は推定)でサインした。今季1軍ではわずか1安打に終わり、背番号もプロ入りから4年間付けた「8」から「66」に変更されることが発表された。

「昨年の経験を生かしたかったのですが、思うような打撃ができずに終わってしまいました。なんとか結果を出そうという気持ちが空回りして、力みにつながってしまいました」。今季をこう振り返り「結果を出せずに背番号が変わるのは悔しい。新しい番号でいい結果を出せるように頑張りたいです」と唇をかんだ。

 昨年は自己最多の57試合に出場し、打率.214(192打数41安打)、6本塁打25打点。そのうち35試合でスタメン4番を任され、期待が膨らんだ。ところが、今季は1軍出場が11試合にとどまり、打率.030(33打数1安打)と“失速”。今季いずれも12球団ワーストのチーム打率.212、350得点、60本塁打という“貧打”に悩まされた1軍は、長距離砲に対する需要が大きかったはずだが、応えられなかった。

 契約更改交渉に当たった広池浩司球団副本部長は「今年の状況でも(1軍に)呼ばれないことが、今の彼の実力であり立場。結果が1安打でしたから、厳しいシーズだったと思います。背番号も変わるので来季は心機一転、勝負をかけてほしい」と激励した。

 2020年ドラフト1位で桐蔭横浜大から入団し、身長176センチ、115キロのポッチャリ系の体型から、中村剛也内野手、現ソフトバンクの山川穂高内野手に次ぐ“おかわり3世”などと呼ばれた。球団は今年のドラフトで同姓の大商大・渡部聖弥外野手を2位指名しており、渡部健は存在感も薄れかねないピンチだ。

■敵として注目していた仁志コーチからアドバイス「軸足が流れやすい」

 それでも覚醒の兆しは、おぼろげながら見え始めている。今オフに就任したばかりの仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチは、昨年までDeNAの2軍監督を3年間務め、イースタン・リーグで敵として渡部健の打撃に注目していた。秋季キャンプでは、それを踏まえたアドバイスを受けたという。

「『軸足の右足が流れやすいから、流れないようにしていこう』と言われました」と明かし、「そこを意識するようになってからは、ボールの見え方が多少違うと感じています。まだ“確信”ではありませんが、少しずつ感覚をつかめてきていると思います」とうなずいた。

 また、契約更改後の会見では、スーツに包まれた渡部健の肉体がこれまでより引き締まり、筋肉が盛り上がっているように見えた。「秋季キャンプがキツかったので、自然に絞れました。動きやすいです」と認める。

 ともすると体重を話題にされがちだけに、具体的な数値については「まだ測っていないのでわかりませんが、感覚で……」とかわしたが、意識の変化をうかがわせる。稀有な長距離砲としての才能を、埋もれさせたまま終わるわけにはいかない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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