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保護者が熱望「中学でも軟式野球を」 成長期の受け皿へ…日本一名門が築く“新選択肢”

Full-Count / 2024年12月3日 7時5分

中学硬式の名門・関メディベースボール学院が軟式部門を新設【写真:チーム提供】

■硬式2リーグで全国制覇…「関メディベースボール学院中等部」が軟式野球部を新設した理由

 2つの中学硬式野球リーグで全国制覇を果たしたポニーリーグの強豪、兵庫の「関メディベースボール学院中等部」(以下、関メディ)が、2025年4月から軟式野球部を新設することになった。硬式球界で快進撃を続けるチームは、なぜ軟式球界に参戦するのか? 井戸伸年総監督は「部活動の地域移行の受け皿と女子選手の活躍の場を」と理由を説明する。

 野球人口底辺の拡大でカギを握るのは、日本独自の文化でもある軟式野球。中学の硬式クラブチームは増加傾向にあるが、井戸総監督は「子どもたちが主に野球を始めるきっかけは軟式。成長期にどちら(硬式と軟式)を選べばいいのか。その答えははっきり出ていない。勉強との両立を目指す子もいます」と、野球を続ける選択肢を広げることを1つの目的として挙げる。

 中学校の部活動事情もあるという。教員の働き方改革の一環で、国は中学の部活動を地域のクラブや民間事業者などに委ねる「地域移行」を進めている。そうなれば外部指導者が中心となり選手を教えることになるが、その受け皿となる側の対応が追いついていないのが現状だ。

 軟式出身の小学生たち全てが、硬式クラブチームに入部するわけではない。球児を子に持つ保護者たちからも、「勉強との両立を目指して中学生でも軟式を続けたい」との声が多くあったという。新設される軟式チームは、平日も練習を行う硬式チームとは違い、基本的に土日だけの予定。ただ、指導者は藤田慎吾トレーナー、元プロの坂口智隆氏ら全国制覇に導いた“精鋭コーチ陣”が受け持つことになる。

「軟式・硬式だから、というのは全くない。高い技術や理論を身に付けてほしい。基本的には高校で野球をやるための土台作りであり、違いはボールだけ。仮に軟式からスタートしても、体力や技術に自信がつけば硬式に移行するのも全然OKです。個々の環境に合わせて選択してくれればいい」


関メディベースボール学院の井戸伸年総監督【写真:喜岡桜】

■近年増加する女子選手の受け皿として…軟式ならば「技術でカバーできる」

 軟式チームを作ったもう1つの理由は、近年増加している女子選手たちの受け皿としてだ。筋力差のあまりない小学生の段階では男子と対等にプレーできていたが、中学生に上がるとどうしても体力差が出てくる。硬式球に比べ、ゴム製で軽い軟式球ならば技術でカバーできる部分もあり、出場機会もおのずと増えてくると考えている。

 部員募集は今月1日からスタートしており、男女ともに受け入れている。1期生の定員は20人とし、2025年4月から本格的に始動する予定だ。井戸総監督は「指導内容は硬式と変わりません。これからも、沢山の子どもたちに野球を続けられる環境を作っていきたい」と、野球人口拡大に力を入れていく。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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