パ6球団職員が「自信持てるきっかけに」 若年層ファンの満足度高める米の取り組み
Full-Count / 2024年12月3日 16時42分
■今年度2回目の開催となった「パ・リーグビジネススクール2024」
11月15日、パ・リーグ6球団の球団職員とパシフィックリーグマーケティング(PLM)の社員を対象とした「パ・リーグビジネススクール2024」がオンラインにて開かれた。今年度2回目の開催となった今回は235人が参加エントリー。スポンサーシップ戦略をテーマに、近年のトレンドや米国プロスポーツチームの具体的な施策を用いた講義が行われた。
パ・リーグビジネススクール(PBS)は、国内外のスポーツビジネスの事例や一般ビジネスを学べる講座として2017年に開設。2020年6月からは、マサチューセッツ州立大学アマースト校アイゼンバーグマネジメントスクール内マーク H.マコーマック スポーツマネジメント学科(The University of Massachusetts Amherst, Mark H. McCormack Department of Sport Management)(以下、UMass)とPLMがパートナーシップ契約を結び、スポーツマネジメントに関する学術的知識や、アメリカの最先端スポーツビジネスの情報を発信している。
講義の冒頭では、スポンサーシップの意義について解説された。プロスポーツチームのビジネスにおいて、スポンサー収入は大きな収益源となっている。他方、企業はスポーツチームとスポンサーシップ契約を結ぶことで、チームのファンからの認知度やブランドイメージを上げ、利用率や購買意欲を高めるというメリットを享受できる。チームとファンが心理的に強く結び付いているスポーツ業界では、その効果を得られやすいのだ。
ゲストスピーカーのWilliam Norton教授によると、消費者の認識に大きな影響をもたらすスポンサーシップは世界的にその市場を拡大しており、今後もさらに成長を加速させるという。特に顕著なのがAIやテクノロジーのカテゴリーで、トラッキングデータの提供やデータ分析などに活用されている。このような昨今のトレンドのほか、スポンサーに対して提供する価値を最大化・多様化することの重要性や、その方法が説かれた。
さらに、William教授はケーススタディとしてMLBで実施されている取り組みも紹介した。MLBとソフトウェア企業は、“Live Content Creator”というプログラムを行っている。このプログラムでは、球場で撮影された選手の写真や動画を、企業が選手のSNSアカウントに提供。選手は試合後すぐに投稿することが可能となり、SNSをよくチェックしている若年層のファンの満足度を高めることに寄与している。
■オリオールズと保険会社の取り組みも紹介
また若年層が社会問題に高い関心を持っていることから、地域貢献にアプローチした事例も。オリオールズと保険会社では、食料供給源や料理の技術、雇用機会などを若者に提供する地元の団体を共に支援し、社会的責任を果たしている。このような取り組みは、各球団が地域に根付いている日本のプロ野球界でも効果的だろう。
2時間にわたる講義を受けた参加者からは、以下のような声が寄せられた。「海外の事例を通して新しい知見を得られたことはもちろんですが、『やっていたことは間違ってなかった』と感じられた部分も多く、自分の経験に対して自信を持てるきっかけにもなりました」「目的を持って提案すること、相手の目的を理解すること、その他事例など、考え方や日本にも応用できる内容が多かった」「チームオペレーションの部門に所属しており、スポンサーシップについての専門的な話は聞いたことがなかったので、専門家による話は大変興味深いものでした」。
今回のテーマはスポンサーシップ戦略だったが、直接関わりのない業務を担当する職員も講義に参加し、新たな知見を得たようだ。このイベントのゴールは、講義で学んだことを各領域で活用すること。受講した6球団の職員がそれぞれのビジネスに還元することにより、パ・リーグ全体の発展につながるだろう。
年間を通じて学びの機会を提供するパ・リーグビジネススクール。今年度の第3回は2025年1月に開催を予定している。(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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