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小学生に「フライボール革命」は必要か 元プロ監督が提唱する“理想の打球角度”

Full-Count / 2024年12月12日 7時5分

中日ジュニアの山北茂利監督【写真:木村竜也】

■中日ジュニア・山北茂利監督が導入する「データ解析」での指導

 小学生に「フライボール革命」は必要なのか――。26日に開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」で、中日ドラゴンズジュニアの指揮を執る山北茂利監督はそんな疑問を抱いていた。時代とともに指導法も日々変化していく中で、山北監督もまたデータを活用した教えに挑戦している。

 3年ぶり5度目の優勝を目指す中日ジュニアには、今年も粒ぞろいの選手16人が集結した。そんな子どもたちを率いる元中日左腕の山北監督は、最新技術を駆使した指導に力を入れている。打球速度・角度などの様々なデータを取ることができる「ブラスト」や「ラプソード」などの機材で、解析方法を自ら学び、毎月選手たちと計測を重ねた。「スイングスピードと打球角度を一緒に見て、どれだけ飛んでいるのかを伝えました。しっかり理由を伝えると納得してくれるんです」。そう手ごたえを感じている。

 数値を小学生指導に落とし込んでいく中で、近年の“流行”に疑問も生まれていた。「フライボール革命は小学生には当てはまらないと思うんです」。26~30度の角度で上がった打球が最も安打や本塁打になりやすいといわれているが、まだ力のない小学生が試みてもフライアウトになる確率が高くなり、難しいのではないかと分析した。

 そこで導き出された小学生に理想の打球角度が「12度」だ。「12度で飛んだ時に、外野の間に落ちるヒットになりやすいんじゃないかという数字が出るんです。それを『ライナー革命』と呼んで、みんなで目指そうと話しました」。日頃の打撃指導でも「12度!」というコーチ陣の声が飛び交っている。


中日ジュニアは「ライナー革命」が合言葉【写真:木村竜也】

■子どもの将来にも効果「数字と向き合うのが当たり前になる」

 データを活用した指導法は選手たちにも好評で、選手のひとりは「足りない部分が数字で出てくるので課題がわかりやすい。理由がしっかりあるので、(ただ指示されるのとは)全然違う」と話す。数値を見てバットの重さを変えて以降、安打が増えた選手もいるといい、山北監督も「(数字で見えるので)興味を持って、少しでもスイングスピードを上げようとしたり、向上心にも繋がりますね」と笑顔を見せる。

 さらに続けて「今後彼らの進む野球界では、そうした数字と向き合うのが当たり前になるでしょう。今のうちに触れておいた方が本人たちにも良い指標になるかなと思います。現在地を知ることができて、課題もわかりやすいので」と、選手たちの将来も見据える。

 日々進化を続ける野球界で、指導者の情報アップデートは必須条件だ。納得できる客観的指標があるからこそ、子どもたちの心を掴める。合言葉は「ライナー革命」。山北監督の“向上心”が生み出した新たなスタイルで、日本一を目指す。(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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