4対1のトレードに「無茶苦茶びっくり」 3冠王との談義で10→30HR、“復活”した中日大砲
Full-Count / 2024年12月12日 6時50分
■宇野勝氏は1987年に30発…春季キャンプでは同年加入の落合博満と動いた
闘将・星野仙一氏が中日監督に就任した1987年シーズン、元中日内野手の宇野勝氏(野球評論家)は中心選手の1人として30本塁打80打点と好結果を残した。10本塁打と不振にあえいだ前年(1986年)からの復活だった。トレードでロッテから中日に加入した落合博満内野手とよく行動をともにして「いろいろ勉強になった」という。“オレ流3冠男”との当時の交流などを思い起こした。
ロッテ・落合は当初、巨人へのトレード移籍が有力視されていた。それに星野監督が待ったをかけた。1982年、1985年、1986年とパ・リーグで本塁打王、打点王、首位打者の3冠王に3度輝いた強打者をライバル・巨人に獲られるわけにはいかないと大逆襲。1986年11月の浜松秋季キャンプでは「このオフはトレードを考えていない」と現有戦力の底上げ方針を掲げていたが、それも撤回して一気に動いた。
1986年12月に牛島和彦投手、上川誠二内野手、桑田茂投手、平沼定晴投手の中日4選手と落合の4対1の世紀のトレードが成立した。これには宇野氏も「びっくりしたよね。どういうことがあったとか、そういうのには全く興味がなかったけど、無茶苦茶びっくりしたね。まぁ、指導者ってさ、自分のチームを作るために、いろんなトレードが当たり前だけど、すごいトレードだったよね」と振り返った。
1987年2月の春季キャンプからは、5歳年上の落合とコンビのように動いた。「落合さん自体がベテランとしかしゃべらなかった。若い子とはほとんどしゃべらない。で、俺がもうけっこう上の方だったからね。何か俺としかしゃべらないような時もあったよね。ほとんど、どこに行くにもさ、飯食いに行くぞって時もいつも一緒だったね。まぁ、あまり外に出る人でもなかったけどさ」。話す中身は、ほぼ野球のことだったという。
「落合さんはホント、野球が大好きだからね。飯食っている時とかでも、そういう話になるよ。だから、これこれはどうだ、とかさ。野球談義で徹夜まではどうだったかな。でもキャンプ中とかは、けっこう遅い時間まで話したこともあったよ」。加えて“オレ流練習スタイル”は大いに参考になったという。
■唸ったベンチでの“予言”「けっこう当たるんだよね」
「ドラゴンズに来てからの落合さんはそんな無茶苦茶に練習をするようなことはなかったけど、キャンプではこういうふうに過ごして最終的にはこうなるとか、きちんと計算されているんだよ。オープン戦なんかも最初はボールを見る、ひとつもバットを振らない。あれって凄く冷静なことで、打つと思ってボールを見逃すのと、最初から打たないでボールを見逃すのはまるっきり違うんでね。いい勉強になったよ」。すべてが新鮮に見えたようだ。
「落合さんは『このピッチャーは勝つよ』とか『このピッチャーは勝てないよ』とか、ベンチに帰ってきて、ひと言。そんなことも言うんだよ。それがまたけっこう当たるんだよね」と宇野氏は唸る。落合と言えば、試合前のフリー打撃でのスローボール打ちが有名だったが「あれもね、自分のポイント、バッティングポイントの確認だよね。そうすれば打てるみたいな、だから遅いボールを打つ。ホント、すべてにきちっとしている人なんだよ」と話した。
宇野氏はプロ10年目の1986年に10本塁打に終わった。1984年に37発で本塁打王、1985年はNPB遊撃手シーズン最高本塁打となる41発を放っていたが一気に急降下した。しかし、星野体制となり落合が加入した1987年は、4月に打率.333、8本塁打、17打点の成績で月間MVPを受賞するなど、好スタートを切った。5月27日の阪神戦(甲子園)では「4番・落合、5番・宇野」の2打席連続アベックホームランも飛び出した。
「(2回に)ホームラン、ホームラン。(4回にも)ホームラン、ホームラン。それは覚えているよ。落合さんはその試合(の9回に)もう1発打ったけどね」。この年の宇野氏はオールスターゲームに初出場。ファン投票で選出された。「その時も落合さんと一緒。あの人はオールスターでも後半戦をにらんで動いていた。第1戦はこう、第2戦はこうとか計画性があったんだよね」と、ここでもオレ流に刺激を受けた。
知る人ぞ知る名コンビでもあった“オレ流&ウーヤン”。1987年の宇野氏は最終的に28本塁打の落合をも上回る30本塁打をマークし、完全復活を果たした。これには自身の努力とともに、3冠男との出会いが大きかったのも間違いない。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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