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ピッチングで多い「足の向きの癖」をどう直す? ボールに威力が伝わる“ジャンプ矯正”

Full-Count / 2024年12月13日 7時5分

ボールに力が伝わるステップ方向とは(写真はイメージ)

■トレーニングコーチの塩多雅矢氏が投げ方指導…「ジャンプドリル」でインステップ改善

 スローイングにおいて、いくら上半身の力が無駄なく指先に伝わっても、下半身がしっかりと投げたい方向に向いていなければ、安定したボールを投げることはできない。特に注意したいのは、投げる際に踏み出した足がインステップすること。Full-Countでは少年野球の現場をよく知る専門家に、“投動作”指導の注意点や練習法について取材。約20校の中学・高校の野球部をサポートするトレーニングコーチの塩多雅矢さんに、改善のためのドリルを紹介してもらった。

 11月上旬。塩多さんは、東京・荒川区の中学軟式野球チーム「荒川レジェンド」でスローイングの指導を実施。選手たちのキャッチボールを見るや「投げる際にインステップする子が多いですね」と鋭く指摘した。インステップとは、右投手の場合、投球の際に捕手方向へステップする左足(左投手は右足)が三塁側(左投手は一塁側)に着地する状態を指す。打者方向に真っすぐ足を踏み出していないため、コントロールが不安定になったり、体への負担が増したりする。

「真っすぐ投げたいのにインステップすると、力がうまく伝わらないし、投げる方向も定まりません。いかに直進させるかということがポイントになります」

 極端にインステップすれば、体をうまく回転させることができず、ボールに力を伝えることが難しい。結果、肩肘に負担がかかり、故障のリスクが増える。矯正しようにも、一度身に付いたステップを矯正するのはたやすいことではなく、フォームそのものがバラバラになる恐れもある。

 そこで有効なのは、ボールを持たずにできる「ジャンプドリル」だ。スローイングにおいて「ジャンプ力」は、重要な要素を持つと塩多氏は説明する。

「スローイング動作でやっていることは、投げる方向に体の向きを変えることと、投げる方向に“跳ぶ”ことの2つです。右利きであれば、投げたい方向に向きを変えながら、軸足(右足)を使って“跳ぶ”という動作をやっています。そして、ジャンプ力はボールのスピードと関係する選手が多いです。立ち跳びでどれぐらい跳べるかということは、結構大切です」


「ジャンプ力」の大切さを説く塩多雅矢氏【写真:編集部】

■ジャンプドリルはスローイング矯正に加えて打撃向上にも役立つ

 ジャンプドリルは至ってシンプルだが、重要な要素が詰まっている。右投げの場合、右足の膝を立てて横向きで片膝立ちをし、そこから投げる方向(左足側)へ体全体を向けながらジャンプし、両足で着地する。推進力は投げたい方向へ向かっているので、ジャンプする方向さえ間違っていなければ、着地の際にインステップやアウトステップすることはない。

 慣れてきたら、ジャンプの際に右足のつま先は地面から離れないようにし、左足のみを投げる方向へ踏み出す。これで、より投球時の下半身の動きに近づける。

 大切なのは、左肩の位置をそのままに、体が開かないように下半身の向きを変えること。左足が着地した時点で、ベルトのバックルが投球方向を向いていることが理想だ。上半身と下半身の捻転差が力を生み、腕が“振られる”ことにより、勢いのあるボールを投げることができる。

「ベルトが前を向いた時に、前の肩が開かずに残っていることが、いわゆる“割れ”や“ねじれ”と言われる状態です。これは打撃の動きとも連動していて、下半身から動いて、最後にバットが出てくる。速いボールを投げる子が、チームで一番ロングティーを飛ばしたりするケースも多いです」

 プロでも投手がロングティー、野手が投球練習やプルダウン(助走をつけての全力投球)などを練習メニューに取り入れることがあるが、普段とは違う動きで“割れ”や“ねじれ”を再確認し、体の切れを取り戻すことが狙いにある。ジャンプドリルは、スローイング矯正のみならず、打撃力向上にも効果がある。(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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