育成→V貢献→難病発覚→戦力外 元燕右腕の激動すぎる6年間…引退から7年も残る麻痺
Full-Count / 2024年12月19日 7時10分
■元ヤクルト徳山武陽さんは2017年限りで引退「充実していて濃密な6年間」
元ヤクルト投手の徳山武陽さんは、2017年限りで戦力外通告を受け現役を引退した。立命大を経て育成で始まったプロ生活。支配下を掴んでリーグ優勝に貢献も、国指定難病の「黄色靱帯骨化症」を発症するなど激動だった6年間のプロ生活を振り返った。
弾むような声で、徳山さんは言う。「最高でした。育成でしたけどプロの世界に入れたことがうれしくて、認めてもらって支配下になれて、優勝を経験できた。最高の結果につながったし、充実していて濃密な6年間でした」。とはいえその道のりは、決して平坦ではなかった。
2011年育成ドラフト1位で入団した直後の2軍春季キャンプで、同僚のブルペン投球を見て「レベルの高さに度肝を抜かれました」。宿泊施設は、育成選手と裏方さん数人だけ別。背番号の桁数以上に、支配下選手との差は大きかった。「育成はプロ野球選手じゃない」とも教育された。立命館大時代の同期は大手企業に就職し、3、4倍の給料をもらっている人もいた。それでも「育成でも行きたいと決めたのは自分。ユニホームを着られるだけでラッキー」と前を向き続けた。
2013年5月13日、念願の支配下契約を勝ち取ると、デビュー戦は同15日の西武戦だった。緊張感に襲われる中で先発マウンドに上がり、先頭の浅村栄斗内野手(現楽天)にいきなり本塁打を浴びた。デビュー戦で初回先頭打者にアーチを許したのは球団史上初。「『チーン』って感じですよ。マウンドに立っているけど足の間隔がないくらい緊張していて、もうその時点で勝負はついていた。史上初って、たまにネタにしていますけど」と今では笑って振り返ることができる。
■引退後は球団広報を経てソニーマーケティング株式会社で法人営業
救援として頭角を現した2015年、自己最多の39試合に登板して14年ぶりのリーグ優勝を味わった。翌2016年は3試合に終わり、秋のフェニックスリーグでの登板中だった。投げ終わりによろけて倒れ、足に力が入らない。告げられた診断名は「黄色靱帯骨化症」だった。
「どこかで聞いたことがあったけど、まさか自分がなるなんて思いもしない。2015年に階段を上ってきた感じがあったので、2016年に結果が残せずポンと崖から落ちる感覚でした」。病気が判明した日は親に電話で報告し、車の中でひとり涙を流した。しかし翌日には切り替え、手術とリハビリに向けて動き出した。当時は球界でまだ珍しかった病気だが、2017年4月にはイースタン・リーグで実戦復帰していた。
9月29日の同・日本ハム戦では“プロ初完封”をマークするも、4日後に待っていたのは戦力外通告だった。病気からわずか1年で……。周囲はそんな見方をしたが、徳山さん自身は違っていた。「自分の実力値はわかっていた。100%以上の力を振り絞ってやっと1軍にいられたから、100%に戻らなければ戦力外になるという心の準備はしていました。冷静に判断しても間違いではなかったし、年齢を考えても当然かなと思っています。一生懸命やったけどどこか覚悟はしていたし、スパッと引退を決めました」。
引退後は球団職員の話をもらい、広報業務や野球振興で第二の人生を歩み始めた。そして2019年10月から野球界を飛び出し、現在はソニーマーケティング株式会社で法人営業の仕事を行っている。今も左足には麻痺が残り、普通に歩いていてつまずいてしまうこともあるが、2018年に結婚した妻と愛娘と幸せな日々を送る。野球から離れてスーツ姿もすっかり板についた徳山さんは、かけがえのない6年間を胸に社会を生き抜いている。(町田利衣 / Rie Machida)
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