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ハムの鉄腕が“17年目の復活”を遂げたワケ .378→.143…4年ぶりの劇的変化

Full-Count / 2024年12月18日 19時31分

日本ハム・宮西尚生【写真:矢口亨】

■日本ハム・宮西は8月にNPB史上初の通算400ホールドを達成

 日本ハムのチーム最年長・宮西尚生投手。2022年に自身初めて登板数が50試合を下回り、2023年は後半戦を2軍で過ごすなど不完全燃焼のシーズンが続いていたが、今季は6月の1軍昇格からシーズン終了までブルペンを支え、防御率2.10の好成績をマーク。8月4日にはNPB史上初となる通算400ホールドを達成した。

 宮西の特徴といえば、直球と大きく曲がるスライダーのコンビネーションだ。しかし今季はキャンプで金子千尋2軍投手コーチの助言を受け、チェンジアップを本格的に使い始めた。昨季も少数ながら投げていた球種だが、今季は対右打者の投球の半分以上、全投球の33.3%を占めた。キャリアの中で、ストレートとスライダー以外の球種の割合が20%を超えたのは今季が初めてだった。

 左投手のチェンジアップは右打者の外角方向に逃げながら落ちるボールで、宮西が長年使ってきたスライダーとはタイプが全く異なる。ベテランにとっては大きな挑戦だったはずだが、今季は2軍で開幕を迎えたこともあり、実戦のマウンドでじっくりと精度を高めることができたようだ。1軍での対右打者のデータを見ると、低めに投じた割合はリーグ平均を上回る70%台を記録。このゾーンでは18打数1安打と打者を圧倒し、スライダーに代わる新たな武器となった。

 チェンジアップを使い始めたことで、ストレートの使い方にも変化が見られた。右打者に対するコース別の投球割合を見ると、シーズンごとに変動はあるものの、昨季まではアウトコースが最多となっていた。しかし今季はインコースが42.6%で最多となり、いわゆるクロスファイアーの投球が増加した。ストレートで打者に内角を意識させることで、外に逃げるチェンジアップの効果を高める目的があったのだろう。

 昨季は右打者に対して被打率.378と苦戦していたが、今季はチェンジアップの効果もあり、同.143とリーグトップの成績まで改善。1割台をマークしたのは、登板50試合で防御率2.05の活躍を見せた2020年以来4シーズンぶりで、不振からの復活を象徴する数字となった。

 一時は現役引退を考えるほどに追い込まれながらも、新球習得やトレーニング法の変更など、新たな挑戦によって活路を見いだした宮西。チームを9年ぶりのリーグ優勝と日本一に導くべく、不屈の左腕は来季もマウンドに立つ。(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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