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早期発見で子どもの“野球人生”を救う 専門家が伝えたい「隠れ野球肘」の見つけ方

Full-Count / 2024年12月19日 11時30分

小中学生で防ぎたい「野球肘」の発見法とは(写真は検診の様子)【写真:間淳】

■さいたま市立病院スポーツ医学総合センター医長の山田先生が肩肘の痛みを解説

 肩肘の痛みは早期発見がカギを握る――。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が18日、投げ方について様々な悩みを抱える少年野球の選手、指導者たちに向けた5夜連続のオンラインイベント「投球指導week」を開催。小学生・中学生の故障予防に焦点を当て、自宅でも簡単に「肘の痛み」をチェックする方法などを紹介した。

 好評のイベント3日目は、さいたま市立病院スポーツ医学総合センター医長の山田唯一先生が参戦。山田先生は、NPO法人埼玉スポーツメディカルサポート副理事長も務めており、野球肘検診を積極的に行うなど、障害予防の大切さを訴える活動を続けている。

 野球肘は、プレーヤーが最も恐れる故障の1つ。特に骨が成長しきっていない小・中学生の子どもたちには注意が必要だ。山田先生も「色んな怪我のなかでも有名で、誰もが一度は聞いたことがあるワード。それだけ、痛めている人が多いということです。特に米国では数値化されており、8歳から14歳の74%が痛みを経験し、そのうち23%が明らかなオーバーユース(過多、酷使)という数値が出ています」と警鐘を鳴らす。

 酷使や疲労はもちろんだが、「球が速い」「体の成熟が早い」「投手と捕手の兼任」といった要因もある。指導者は“怪我をしやすい子”というのも頭に入れる必要がある。大人と子どもでは骨の強弱も違い、野球を始めたばかりの小学生は軟骨を痛めることが多い。子どもは靱帯より骨が弱いため、骨が剥がれやすいので注意が必要だ。


「野球肘」について解説する山田唯一氏【写真:編集部】

■野球肘を早期発見し子どもたちを守る…自宅でも簡単にできるチェック法を紹介

 また、野球肘の患部には、肘の内側と外側の2つが存在するという。内側は骨が剥がれ痛みに気づきやすいが「外側は気づきにくく、分かった時には手術が必要になるケースもあります」と山田先生は指摘する。そこで、イベントでは自宅でも簡単にできる「野球肘チェック」も紹介した。

 その方法とは、肘の内側にある出っ張りを上から弧を描くように触ったり、伸ばした肘を外に開きながら痛みがないかを確認する。ここで重要なのは、子どもたちの表情。痛みを隠すこともあるので、顔をしかめたり我慢するような表情を見逃さないことが大切だ。

 全国的に見れば野球肘検診、エコー検診は広まっているとは言い難い。山田先生も「連盟と医療機関がタッグを組み子どもたちを守っていくことが今後、必要になってきます。“隠れ野球肘”も少なからずいるので、痛みがなくても検診は受けてほしい」と、選手、指導者、保護者たちに訴えていた。

 この日は、ゲストコメンテーターとして多賀少年野球クラブの辻正人監督も参加。楽天・則本昂大投手(楽天)や、20人を超える甲子園球児を育てた名指導者も「私たちのチームでも年に2回、検診は行っています。外側(の野球肘)を見つけたくて。本当に2分ぐらいで終わるので、大人たちが率先して子どもたちを守ってほしい」と語っていた。

 正しい投げ方を習得し、スキルを上げるのはもちろん必要だが、故障をしてしまっては元も子もない。肩肘の痛みなどで、野球を断念する球児を1人でも減らしていくこともまた、指導者の役目だ。「投球指導week」は20日まで開催される。(First-Pitch編集部)

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