鷹23歳が語る“現実”「打っても上がれない」 育成と支配下…感じた「扱いの違い」
Full-Count / 2025年1月5日 7時40分
■2023年はファーム非公式戦で22本塁打も…限られた出場機会
支配下と育成。あまりにも「扱いが違う」と味わい、乗り越えようと努力を重ねてきた。ソフトバンクの石塚綜一郎捕手は、昨年7月に支配下登録を勝ち取った。高卒5年目にして掴んだ待望の2桁背番号。「育成から段階を踏んで、しっかりここまでできた」と、充実感とともにシーズンを振り返る。
2001年6月生まれ。球界でいえば佐々木朗希投手と同世代だ。秋田市出身で、岩手・黒沢尻工に進学。2019年育成ドラフト1位で、プロの世界に入ってきた。少しずつ打棒に磨きをかけて、昨年8月21日の楽天戦(楽天モバイルパーク)ではプロ初本塁打も放つなど、確かな爪痕を残した1年だ。15試合に出場して打率.194、1本塁打、6打点という成績で、2024年を終えた。
まだ3桁を背負っていた2023年、ファームの非公式戦で22本塁打を記録する。しかし、ウエスタン・リーグに出場できる育成選手は1試合で5人だけ。2軍で指揮を執っていた小久保裕紀監督ですら「使ってやることがあまりできなかった」と頭を悩ませるほどだった。石塚も「最初は(非公式戦で)4割、ホームランを10本とか打っても上がれない状態だった。『どうしたらいいんだろう』って、結果を出さないといけないとわかっていたんですけど、気持ちが落ちてしまうことがありました」と振り返る。選手層の厚さを何度も思い知らされてきた。
■1試合につき出場できる育成選手は5人まで…時には本音「出ないしな」
「自分がベンチにいても、先を見据えちゃいますよね。先発ピッチャーが育成の人だとしたら、中継ぎもほとんどの人が育成だったじゃないですか。(育成投手の)古川(侑利)さんとかクワさん(鍬原拓也)とか。8回の時点でもう育成選手が5人出ていたら、もう自分に出番はない。それもチームのことですし、試合終盤のチャンスでも回ってくるのは支配下の選手で『もう出ないしな……』って思っちゃうことはありました」
3軍で経験を積んでいても、支配下が“優遇”されるのは当然のことだった。特に石塚のポジションは、1つしかない捕手。「井上(朋也)の代が入ってきた時に、高卒ばかりだったじゃないですか。2連戦だったら1戦目のキャッチャーは絶対に牧原(巧汰)で、2戦目も僕ともう1人の育成で半分半分みたいな」。球団の方針だとわかっていても、扱いの違いは身を持って実感してきた。そのたびに、2桁への渇望と決意は新たになってきた。
出場機会を増やすためにも、2024年は一塁や左翼の守備も練習を重ねてきた。今オフの自主トレは、巨人への移籍が決まった甲斐拓也捕手の下で行う。「ずっと1軍にいることが大切だと思う。1年間、1軍に必要とされる選手になりたい」。悔しさなら、もう何度も経験した。1軍という晴れ舞台で、今年こそ、最高の充実感をかみ締めたい。(竹村岳 / Gaku Takemura)
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