「噛む時の『ギギギ』という音が…」 日本ハムの19歳逸材が告白した苦手な“食べ物”
Full-Count / 2025年1月7日 18時25分
■PLM、台湾で宋家豪、孫易磊のオンラインファンミーティング開催
パシフィックリーグマーケティング(以下、PLM)は12月9日、台湾・台北市内で、楽天の宋家豪(ソン・チャーホウ)投手、日本ハムの孫易磊(スン・イーレイ)投手の2人をゲストに迎え、オンラインファンミーティング「パシフィック・リーグFESTA 2024 in TAIWAN」を開催した。
冒頭、挨拶を行ったPLMメディアライツ事業部海外グループマネジャーの高木隆氏は、この企画理由について、「宋家豪、孫易磊の両投手が母国を離れ、日本で素晴らしい成績をあげています。その頑張りをより多くの台湾のファンと共有したい、同時にパシフィック・リーグのことについても、皆さんに広く知っていただきたいと思い、企画しました」と説明した。
宋家豪と孫易磊が着用していたのは、所用のため不参加となった楽天の王彦程(ワン・イェンチェン)投手を加えた3人の似顔絵、そして「阿美ジング」と書かれた特製Tシャツだった。「阿美ジング」は「アメイジング」と読む。これは、3人がいずれも台湾原住民族のアミ族の出身であることから、アミ族の台湾華語表記「阿美」の台湾華語読み「アーメイ」と、「アメージング(Amazing)」をかけたものである。
■宋家豪、今季の目標は3年ぶり50試合登板「怪我なくベスト尽くす」
台湾でパ・リーグ中継の実況を担当するDAZN台湾の石屹軒アナが進行役を務めたファンミーティングは、「2024年シーズンの回顧」「2025年への意気込み」「パ・リーグの台湾人9選手紹介」「ファンとのQ&A」のパートに分かれて行われた。2人が話したことを中心に、ファンミーティングの内容をお届けする。
宋家豪は、1軍通算300試合登板、通算300イニング投球を達成した2024年シーズンまでの日本プロ野球の9年間について、「さまざまな困難を乗り越え、ここまで頑張ってきたことを誇りに思います」と振り返った。2024年に最も満足だった点は、2023年よりも球速がアップした上、捕手の構えた位置に投げられたことを挙げた。
一方、順調に滑り出しながら、中盤に不調に陥ったのは疲労感によるものだったと説明。ただ、調整方法は十分に心得ていることに胸を張った。また、9月下旬、「違和感」により緊急降板を余儀なくされた試合については、これまでの野球人生で初めての経験だっただけに、今季一番印象に残る試合となったと述べ、「完全に回復しました。ボールを投げても全く問題ないです」と強調した。
10年目のシーズンとなる2025年の目標については「(3年ぶりとなる)1軍50試合登板。怪我なく、ベストを尽くすこと」と語った。また、取得すれば外国人枠を外れる「国内FA権の取得」までは1年余り。この点については「台湾の先輩でFAを取得した郭泰源さんと許銘傑さんの2人は、いずれも先発投手でした。僕は救援投手なので、マイルストーンになると思います」と力を込めた。
なお、中継ぎ、救援投手としてマウンドに立つ際の心構えについては、「バックを信じ、ピンチを一緒に切り抜ける。そうしたプラス思考でいることが重要」と答えた。また、最も威圧感を感じるチームはどこかという問いには「ソフトバンク打線」と即答、「9番までしぶとい。特にビジターだとドームなのでファンの声援がすごくて……」と苦笑いした。
■孫易磊が反省を糧に成長誓う、宮西からの助言を胸に目指す支配下
2023年6月に高校を卒業、2024年が日本プロ野球1年目だった孫易磊は「高校時代と、長いシーズンを戦うプロ野球ではいろんな点が違った」と素直に振り返った。そして、自分自身は疲労感を覚えていなかったものの、7月から8月にかけ、平均球速を含め、各種の数値が落ち込んだため、球団から1カ月間、ノースロー調整を指示されたと明かした。そして9月、中継ぎで復帰した際は球速も回復したという。
2024年、最も印象に残った対決は、「TV中継で見ていた」という西武・金子侑司外野手との対決だったといい、2ストライクと追い込んだあと興奮し、力んで直球を続けたところ、二塁打を打たれてしまったと苦笑した。
チーム内の「大先輩」では誰と話したか、という問いには、宮西尚生投手の名を挙げ、「最初はとても話しかける度胸はなかったのですが、食事に連れていっていただき、それからスライダーの投げ方や、粘る日本の打者にどう立ち向かったらいいかなどうかがいました」と打ち明けた。
現在の日本語のレベルについては、聞き取りはほぼできるようになったものの、いざ話そうとする、単語がスムーズに出てこない状態だという。
また、ファンから「生野菜サラダ」が苦手らしいがと指摘されると、「噛む時の『ギギギ』という音が苦手」と認め、大きめの葉っぱがあれば、それで包むようにして一口で飲み込んでいると明かした。
2年目となる2025年の目標について、「背番号を2桁にすること(支配下登録)か」と問われた孫易磊は、「もちろん、それが一番」とした上で、「今年1年、プロでやっていく上で、さまざまな欠点や認識しなければならない点がありました。来年は、今年と同じ失敗を繰り返さないようにしたいです」と成長を誓った。育成選手ということもあり、球団も本人も体づくりが重要と考えており、2024年は既に筋肉量だけで2キロ増。このオフも、筋力アップを目指し、日々トレーニングに励んでいる。
■ドラフトで林冠臣は西武4位 新たに6人加わりパの台湾人は9人に
2024年のドラフト会議では、西武が4位で林冠臣外野手(日本経済大)、楽天が6位で陽柏翔内野手(BC茨城)と「日本人扱い」だった台湾人選手を指名したほか、日本ハムが台湾プロ野球の統一ライオンズからポスティング申請した古林睿煬投手と支配下契約。さらに、オリックスが陳睦衡投手、楽天が蕭齊投手、ソフトバンクがチャン・ジュンウェイ投手と、いずれも新北市の強豪高校、穀保家商を2024年夏に卒業した選手と育成契約した。パ・リーグ球団所属の台湾人選手はこのオフ一挙に6人増え、総勢9人に達した。
「大先輩」にあたる宋家豪は、「まず、日本プロ野球の環境に慣れること。最初は通訳さんの助けを借りつつも、簡単な単語でもいいので、とにかくチームメートと日本語で交流すること。そして、日本は練習も自主性が高いので、決して気を抜かず練習をしっかりこなすこと」と後輩たちへのアドバイスを行った。
既に高校の後輩たちから電話があったと明かした孫易磊は、まさに宋先輩のアドバイスの通りだとして、「何も話さないと、困っていても相手に伝わらないし、アドバイスももらえない。とにかくチームメートと交流することが重要」と伝えたという。また、同僚となる古林睿煬に対しては、「古林先輩は、技術的な部分は問題ないと思います。よりすぐれたパフォーマンスを発揮するためには、キャッチャー陣に自分のことをしっかり理解してもらわないといけないので、コミュニケーションを積極的に取ることが重要です」と述べた。
■孫易磊は大先輩の「金言」に感謝、宋家豪は「仙台愛」語る
2人はイベントとは別に、「パ・リーグインサイト」の独占インタビューにも応じた。孫易磊は今回のファンミーティングを通じ、同じ育成契約出身の大先輩、宋家豪のさまざまな「金言」を聞くことができたことについて、「日本での9年間、きっとさまざまなことがあったと思いますし、今日まで先輩がプレーされてきたことは本当に凄いと思います。自分は1年目、分からないことも多かったので、話を聞ける機会を持ててよかったです」と収穫を語った。そして、自身の来季については「焦ることなく、一歩一歩、着実に成長していきたい」と意気込みを示した。ちなみに、現在チーム内で特に仲がいいのは、内野手の星野ひのでと、同じ育成契約の左腕・加藤大和投手の「同期」入団の2選手だといい、ラーメンなどを一緒に食べにいったりしているという。
一方、2025年が10年目、現在は家族と仙台で暮らす宋家豪は「私も家族も、仙台の街を愛しています。皆さんとっても優しく、ファンの方々と街で会うと挨拶をしてくれます。生活リズムが少しゆっくりなところも気に入っていますね。子どもにとっても心地よく、子育てに向いている土地だと思います」と仙台愛をたっぷり語った。
2025年、2人が実力を十分に発揮し、満足のいくシーズンを送ってくれることを期待したい。「パ・リーグインサイト」では今後も2人をはじめ、一躍、大所帯となった台湾出身プレーヤーの情報を届けていく予定だ。(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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