元阪神右腕が痛感した“壁”「自信を失った」 受験突破も…諦めかけた投手の道「厳しいかな」
Full-Count / 2025年1月8日 6時50分
■川尻哲郎氏が振り返る野球人生…小6で「オール東京」に選出
阪神低迷期に投手陣を支えたサイドスロー右腕が、川尻哲郎氏だ。好投しても打線の援護に恵まれないケースも多かった中で、1998年にノーヒットノーランを達成するなど阪神ファンを大いに沸かせた。現在は東京・新橋でスポーツバー「TIGER STADIUM」を経営しながら、野球に携わる日々だが、その野球人生にもいろんなことが詰まっている。少年時代には「オール東京」のメンバーとして「ニューヨーク」と対決したという。
川尻氏は東京都中野区出身。「お父さんが草野球の監督をしていたんで、付いていっているうちに自分もやりたくなったんでしょうね。チームには甲子園に出た人もいて、大人とキャッチボールとかトスバッティングとかしたのが野球をやりはじめたきっかけですね」。1969年1月5日生まれ。「それが小学校2年生とか、3年生くらいですかね、草野球チームの人にはかわいがってもらいました」。自然と野球に熱中する環境だったようだ。
「小学校4年とか高学年になってから、家の近くの少年軟式野球チームの相生ホークスに入りました」。当時から目立つ存在だったらしく「小学校6年(1980年)の時にオール中野に選ばれました。中野からは1人だけだったと思うけどオール東京にも入りました。ピッチャーでした。もちろん上から投げてね。ピッチャーじゃないときはショートを守っていたかな」。東京とニューヨークが姉妹都市ということで開催された日米親善少年野球大会に出場した。
川尻氏といえば1998年の日米野球で8回1/3を無失点の快投を演じたことでも知られるが、小学生の頃から“国際大会”を経験していたわけだ。「だいぶ前の話なので、結果とかもあまり覚えていないけど、あの頃は打つ方もまぁ、悪くなかったですしね。向こうはオールニューヨークだったかな。オール中野としても1試合やって、オール東京では5、6試合やったんじゃないですかねぇ。中野区の上高田球場でも試合をしたと思う」。
■甲子園に憧れ…受験で日大二中に入学
甲子園にも憧れた。「(徳島の)池田高校とか、(早実の)荒木大輔さんとかを見てね」。川尻氏が中野区立向台小6時の1980年夏の甲子園は、愛甲猛投手を擁する横浜高が、1年生右腕・荒木の早実を下して優勝した。前年の1979年夏は池田が準優勝し、影響を受けた。中学についても「甲子園に行けるところはどこだろうってお父さんとかと話をして日大二が強いと聞いて、中学からそのまま行けるから行った方がいいんじゃないかとなった」という。
野球を第一に考えて決めた進路だった。私立では他に日大一や日大三も候補ではあったそうだが、その中で日大二が最も自宅から近いこともあって選択したという。合格するために勉強にも励んだ。「塾にも1年くらい通いましたよ。野球で取るとかはない中学なんでね。すべて頭なんですよ。受験して、受かったんです」。甲子園への熱い思いが勉強にもパワーをもたらした。
だが、日大二中野球部のレベルは高かった。「各地から来ていたし、上級生とは体格も違った。僕はまだまだ子どもの体でしたからね。最初は自信を失ったというか、大丈夫かなって思った。中学ではピッチャーで行こうと思っていたんですけど、ちょっと厳しいかなと思って、ピッチャー以外にファーストもやるようになりました」と言う。「中3の時はファーストがメイン。エースは他にいたんでね」。それで納得するしかなかったそうだ。
中学時代は野球で成績も残せなかった。「僕たちが3年生の時は区大会の1回戦で負けました。公立の中学に負けた。何か早く終わっちゃってね……」。オール東京にも選出された小6時代とは打って変わって、苦しい時期だった。だが、気持ちは前向きだったという。「日大二高に上がれるわけだし、また高校で頑張ればいいやって思っていました」。切り替えて高校ではもう一度、投手に挑戦しようと考えた。そんな諦めない気持ちが、川尻氏の投手人生を再スタートさせた。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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