19歳で戦力外→育成の“本音” TJ手術は「我慢との戦い」…真横の新人が「羨ましい」
Full-Count / 2025年1月16日 7時20分
■オリックス育成の河内がトミー・ジョン手術から目指す復活
オリックス・河内康介投手が年明けからキャッチボールを再開し、右肘トミー・ジョン手術からの復活に向けてスタートを切った。怪我の影響で戦力外通告を受けて育成契約に切り替わり、迎えるプロ2年目。「ボールがこれだけ重かったのかと驚きました。大きさにも慣れなかったですね。でも、なんか思い出してきた感じがあって、ちょっとイメージも出てきました」。手術後、初めて右腕でボールを投げて3日が経った頃、頬を緩めた。
河内は、大阪府高槻市出身。聖カタリナ学園(愛媛)では1年秋からベンチ入り、最速150キロのストレートとスライダーが武器だ。2023年ドラフト2位でオリックスに入団。プロ1年目は体作りと並行して、将来のエース候補として主に先発起用され、球速も147キロを記録するなど順調にプロ野球生活を歩み始めていた。
そんな河内に悲劇が襲ったのは、8月6日の広島戦(ほっともっと神戸)だった。先発したマウンドで右肘に違和感を覚え、2つのアウトを取っただけで、22球で降板してしまった。「その時はアドレナリンが出ていたこともあって痛みは感じなかったんですが、ロッカーで着替えているうちに痺れが出てきてやばいなと……」。病院での診断は重傷で、約2週間後に大阪市内の病院で右肘内側側副靭帯再建術を受けた。
富田ブレーブスで野球を始めた小学生時代に肩を痛めて休んだことはあるが、故障とは無縁で過ごしてきた河内にとって、初めての手術と入院生活。そして1年以上にもわたるリハビリの始まりだった。
「自分的に投球に手応えが出てきたところでした。広島戦では5回まで投げて初勝利も挙げたいなと思っていた矢先の怪我でした」。プロ1年目の挫折に打ちひしがれる18歳を、富山凌雅投手や山崎颯一郎投手、椋木蓮投手らトミー・ジョン手術を受けた先輩たちが、次々に声を掛け不安を払拭してくれた。「TJ手術をした後は強くなる」「実績を作ってから手術してブランクを迎えるより、早い時期に手術した方がよかったよ」。復活している先輩の言葉が前を向かせてくれた。
「颯一郎さんからは『投げられない1年は、黙々とウエートトレーニングや走ったりして体を作る期間だから。僕の場合、ウエートをしていたら、勝手に150キロが出た。そういうパターンになるよ』と言ってもらいました。今はそう思いながらリハビリに励んでいます」
■新人選手が「横で投げているのを見て、すごく羨ましかった」
椋木からは、投球再開後の留意点を教わった。「最初はすごく痛いけれど、悪いことじゃない。3、4か月以上投げる動作をしていないのだから、肘が固まっている。ちゃんと体を温め、肘もしっかりとアップした状態で投げていたら、痛みは変わってくる。肘を気にしていたら肩が痛くなったりするので、ストレッチは今までの2倍はした方がいい」。真っすぐな言葉に河内は「細かいところまでアドバイスをいただきました。わからないことばかりでしたからうれしかったですね」と感謝する。
再開したキャッチボールは約10メートル離れた距離で、リハビリ担当の田中康雄トレーナーに、ワンバウンドで投げる基礎的な練習。4日目からは約3メートルのネットピッチになった。室内練習場の隣では、入団したばかりの新人選手の合同練習が行われ、元気な声や機敏な動きでキャッチボールを続ける姿が目に入る。
「横で投げているのを見て、すごく羨ましかった。早く投げたいなとも思いました。でも、もう1度悪くなったらいけないので、焦ることはありません。ここからは我慢との戦いです」と、自分に言い聞かせるように表情を引き締めた。
今季は背番号135で出発する。「育成からのスタートですが、復帰した時に『こんなに球速が上がったのか』『質のいいボールを投げるようになったな』と言われたいですね。この1年間を無駄にしないよう、先を見ていきたい」。8月にも予定される実戦復帰に向け、着実に歩みを進める。(北野正樹 / Masaki Kitano)
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