「誰だ連れてきたのは」 2軍監督の罵声→怒りで震える体…別人になった元首位打者
Full-Count / 2025年1月21日 7時20分
■西村徳文氏は社会人時代まで「頑張る気持ちがなかった」も一変
1981年ドラフト5位で鹿児島鉄道局からロッテに入団した西村徳文氏は、1990年に首位打者に輝いたが「頑張ろうという気持ちが全くなかった社会人までの野球人生。通用しないから2、3年で辞めるだろう」という心持ちでのプロ入りだった。しかし1年目の3月、甘い考えを一変させる出来事が起きた。
教育リーグでのことだった。内野ゴロに倒れて三塁ベンチに戻った西村氏は、信じられない声を耳にすることになる。「誰だ、こんな選手を連れてきたのは!」。声の主は高木公男2軍監督だった。
「震えるほどカーっときましたよ。でも、その一言は自分だけのことを言われている気がしなかった。自分とスカウトに対しての言葉。そう思ったらスカウトの方に絶対に恥をかかせるわけにはいかないと、今までの甘い考えが一瞬にして別人になりました。目が覚めた、衝撃的な出来事でしたね」
野球に対する考え、練習への態度、全てを見直すキッカケとなった。同じころ、飯塚佳寛2軍守備走塁コーチから「それだけの足の速さがあって何で走らないのか。この世界で生きていくにはアピールしないといけないだろう」と叱責された。それまで教育リーグで出塁してもスタートを切ろうとしなかったが、気持ちは変わっていった。
■ファームの開幕スタメン外れて「頭にきた」も…肩の治療専念が奏功
しかし、ファームの開幕戦のスタメンを外れた。「教育リーグもそこそこの結果を残していたので半分頭にきましたけどね。それなら治療に専念しようと」。実はドラフト前に突然肩の痛みに襲われ、騙し騙しプレーしていた。塁間を投げるのもやっとだったため、1月の自主トレではチーム関係者もビックリ。「詐欺ですよね」と苦笑いするほどだった。
そこで自ら申し出て1か月ノースローに。すると肩も回復してファームで試合経験を積み、シーズン終盤に1軍で6試合に出場した。「2軍の開幕スタメンに入って試合に出続けていたら肩も良くならなかったでしょうから、辞めるのも早まっていたかもしれないですよね」と感慨深げに振り返った。
「厳しいことを言ってくれる人がいてよかったなと思います。2軍監督がいらっしゃらなかったら本当に2、3年で終わる選手だっただろうし、今の自分はいませんから」。全てを変えてくれた一言に、今では感謝が尽きない。(町田利衣 / Rie Machida)
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