弓子夫人、仰木監督…「人生に大きく影響」 米殿堂入りイチロー氏が語る感謝、一問一答
Full-Count / 2025年1月22日 9時59分
■アジア選手初の米殿堂入り…会見で語った喜び
米野球殿堂は21日、2025年の米野球殿堂入りを発表し、マリナーズなどで活躍したイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が資格1年目で野手史上最高となる得票率99.7%でアジア選手として初の選手を果たした。
同日、BBWAA(全米野球記者協会)のオンライン会見で喜びを語った。一問一答は以下の通り。
――オークランドでのメジャー初補殺は印象深いか。
「あの試合は先発ではなくて、すごくイライラしていたんですよね。オークランドへ初めて行って、ファンからなかなか厳しい声があったり、物が投げ入れられたり。あのシーンは怒りのエネルギーで結果に繋がったってところが大きかった」
――オークランドはなぜ厳しかった。
「どうしてかはわからないけど、初めて日本人野手としてきてアメリカの洗礼。外国から来たわけわからない人に洗礼を浴びせたんだと思います」
――オールスターでのランニングHRについて。
「(柵を)越えてくれなかったことがショックだった。でも結果的には誰もやったことのないことにつながって喜んではいたんですけど。あとは、3打数3安打でホームランがあって、3打席で変わったので。僕は友達も来ていて、早く予約していたレストランに行きたくて、早く帰ろうとしたんですよ。当時のオールスターってそういったことができる試合だったので。帰ろうとしたらMVPになるかもしれないからダメだってMLBの人に止められて。でも僕も早く帰りたいから他の人が誰かホームランかなんか打ってって思ってたんだけど。結果的にはあれでMVP取れてよかったなって思い出です。だから(球宴MVPの)インタビューで私服着ているのはそういう理由です」
――2001年、27歳の時殿堂入りを想像していたか。
「地球上の1人も想像していなかったでしょう」
――今まで達成してきた記録で殿堂入りはどの位置にいるか。
「選手としての評価。プロ野球選手としての評価は最高。比べるものがないくらい。これ以上はないしこのあとはない。僕は野球人として違う道をこれから進んでいきたいと思っています。特殊なのは過去への称賛なのであくまで今をどう生きるかを考えたいと思います」
■今でも球場に行く理由「コーチではないけれど技術を見せることができる」
――松井、大谷ら、メジャーへの道を作った。
「それは僕には分かりません。人が判断することなので」
――今でも選手みたいに球場行く理由は。
「まずマリナーズの選手と一緒に練習して、フリオ(・ロドリゲス)とキャッチボールして、一緒にノックを受けて、スローイングすることもある。コーチという立場ではないけど、技術を見せることができる。それをキープすることで選手が理解することができる。耳で理解するのと目で見て理解するのは違う。それを彼らにも元気なうちは続けたいと思っているし、毎日やっていなかったらホームにチームが戻ってきた時にやろうと思ってもできないんですね」
「日本の高校生たちにもプロの技術を間近で見せるのは重要なことで。引退してからやっているわけですけど、動ける間はこれからもずっと続けたい。できなくなるのはいつなのかを見定めたい。これがサンプルになると思うので」
――発表を聞いてどういう気持ちか。
「(番組始まって)15分過ぎてもなかったので、ひょっとしてなかったかもしれないという不安の方が強くてホッとしました。これから色々なことを思い返して、色々感情が出てくるんだと思います」
■「ずっと一緒に支えて戦ってきてくれた。まずは妻に感謝したい」
――長い戦いだったと思いますが。どの人にどんな言葉を送りたいか。
「あげればキリがないが、まずは妻ですね。ずっと一緒に支えて戦ってきてくれた。まずは妻に感謝したい。たくさんの出会いがありました。その中で大きな影響を受けたのが仰木(彬)監督。その存在がなければ、カタカナのイチローにならなかったと思いますし、これだけ人に知られる存在にならなかったと思います。野球という存在がなければ、僕は何者かになれたのだろうかと考えます。人との出会いと少しの運。努力することは当然としてその2つが人生に大きく影響するんだなと感じています」
――ヤンキースで学んだこと。
「ヤンキースが特別だったのはジーターがいたヤンキースであったと思うんですよね。それぞれがプロフェッショナルだったこと。クラブハウスがインパクトありました。音がないクラブハウスは初めてだったし、ヤンキースもプロフェッショナルとしての意識はこういう集団なんだと教えてもらった」
――メンタル面を鍛えるのに大事なこと。
「メンタルを鍛えたいなら厳しい道を選ぶしかないんじゃないですかね。楽な方いくとメンタルは弱くなっていきます。技術的な方もそうですけどね。楽な方を行くと体が怠けていくのもそうですし、メンタルもそうですね。挫折を知らない、負けを知らないメンタリティは弱いと思うので。少ない経験で強いメンタリティを獲得できることはないと思うんですよね。いかに厳しい道を選べるかに尽きると思います」
――これからやっていきたいこと。
「今継続していることは継続したい。そのほかにどうですかね。新しく取り組んでみたいこと。命を削ってまでやりたいことは見えてこない。それができるのは野球でしかない。それまでのものは出てこないと思います。期待はしているんですがおそらく出てこないでしょう。別の野球の道を模索していく。そこで自分がエネルギーを注げることを期待しています」
――特別な日になったと思うがどう祝うか。
「今日はお祝いする時間ないと思いますね。なかなかこの後も明日が早いこともあって。いつも通り過ごすことはない。家で妻と一杯お酒を乾杯するくらいだと思います。あとはないですね」(Full-Count編集部)
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