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戦力外3年後の鷹“復帰”も…待ち受けていた超激務 1年で200泊、新人の過酷な洗礼

Full-Count / 2025年1月24日 7時20分

四国IL愛媛時代の大本将吾氏【写真:本人提供】

■2023年12月からスカウト就任の大本さん 聞かされた「スカウトは孤独」

 目まぐるしく駆け回った1年間は、相当な「激務」だった。それでも、上回った思いは“充実感”だった。2023年12月にソフトバンクのアマチュアスカウトに就任した大本将吾さん。2016年育成ドラフト1位で入団し、2020年オフに戦力外通告を受けた。その後は四国ILの愛媛でプレーし、2022年に現役引退。古巣からスカウト就任のオファーを受けて、ソフトバンクに復帰した。地元の愛媛を含む中国・四国担当としての“ルーキーイヤー”を終えた大本スカウトは、「楽しく、ストレスのない環境で1年間ずっと回らせてもらった」と感謝している。

 スカウトとしての仕事始めは、2023年オフに行われた新入団会見。当時は右も左も分からない状況だった。当初、「スカウトは孤独」だと聞いていたが、働き始めると不安は杞憂に終わった。スカウトとしてのイロハは、経験豊富な先輩からのバックアップを受けながら学んだ。初めて足を運ぶ地区も多かったが「冒険しに行くみたいな感じ」と、新たな仕事にワクワクしながら過ごした2024年だった。

 笑顔で1年間を振り返った大本スカウトだが、生活は相当な「激務」だった。担当エリアの中国・四国は計9県あり、移動範囲も広い。「挨拶まわりは時間が足りなかったですね」と、1日に2、3チームを回っても追いつかなかった。「四国に関してはある程度のネットワークもあって、繋いでもらうことができました。僕も8年前まで高校球児だったので、覚えてくれている方も多かったので……。ただ、中国地方はもうゼロからでした」。

 広大な担当エリアはもちろん、高校、大学、社会人、クラブチーム、独立リーグと網羅しなければならないカテゴリーも多い。「そもそも高校だけで450校くらいあるんですよ。大学が野球部あるなしに関係なく50~60。社会人、独立、クラブチームもあるので、大体600チームくらいですね。(選手を見る期間は)ドラフトまでなので365日もないですし、その期間で600チーム全て行けるわけないじゃない。しかも、1回行ったくらいで(実力が)判断できるわけもないので。ある程度、興味があるところには通って……」。

 時間が足りないとはいえ、1日に何件も視察を詰め込むと失礼に当たるのではないか。それでも、意中の選手がいるところには何度も通いたい……。様々な気苦労が絶えない日々に「それが一番難しかったですね」と苦笑いを浮かべた。


ソフトバンク・大本将吾スカウト

■毎日300キロの運転「ぼーっとしないように大声で歌いながら」

 さらに大変だったのは“移動”だ。エリアの中心である岡山に居を構えている大本スカウトだが、「朝一番、島根で第1試合を見て、岡山で第3試合を見て、徳島(四国IL)のナイターに行くみたいな。車じゃないと絶対に無理ですね。ぼーっとしたら危ないので、車内では大声で歌いながら(笑)。それが一番安全運転でした」。若さと元気で疲労を跳ね返してきた。

 挨拶まわりに追われた昨年の1、2月は「ほぼ毎日、300キロくらい運転していました」と明かす。春先から野球シーズンが始まると、岡山の自宅にはあまり帰れなくなった。四国を回る時には、愛媛の実家に泊まることも多く、「2024年は200泊以上しました」。球団の将来を背負う選手の目利きという重要な職務は、心身ともに大きな苦難を伴う。自宅やホテルに戻っても、視察した選手のレポートを書いたり、情報収集をしたりと多忙な日々を過ごす。それでも、スカウト1年目を振り返って、大きなやりがいを感じていた。

 心を大きく揺さぶられた選手との出会いもあった。2024年ドラフトで指名には至らなかったが、大本スカウトが魅了された高校生がいた。その選手に対する評価を上司にも熱心に伝え、球団としても追ってきた1人だった。

「その子が夏の大会で全然結果が出なくて。それでもいけるかなと思っていたんですけど……。その子を追う中で試合に勝ってくれたり、いい成績を出してくれたりした時は、親心じゃないですけど、すごく嬉しくて。勝手に応援していました」。どの球団のスカウトよりも足を運んだ自負も思いもあった。「うちじゃなくてもいいから、プロ入りの夢を叶えてほしい」と思うくらい、情熱を胸に日々を送った。

 新米スカウトは1年目を終えたばかりだが、「捨てたもんじゃないな、この人生」と思える時間だったという。たくさんのサポートを受けながら、様々な出会いにも助けられた。駆け抜けた1年は、スカウトとしての大切な根幹となった。初心を忘れずに、これからも前に進んでいく。(上杉あずさ / Azusa Uesugi)

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