覚悟していた戦力外…ラスト登板で「ボコボコにやられた」 すんなり受け入れた現役引退
Full-Count / 2025年1月29日 6時50分
■川尻哲郎氏は分配ドラフトで楽天入り…春季キャンプで無念の故障離脱
阪神など3球団でプレーし、通算60勝を挙げた川尻哲郎氏は2005年に楽天で現役を引退した。プロ生活は11年目で幕を閉じた。ラストシーズンは沖縄・久米島キャンプでの右足肉離れが響き、2登板で0勝1敗、防御率8.64に終わった。戦力外を通告され、トライアウトを受けたが、声がかからずユニホームを脱ぐことを決意した。「悔いは特にないです。もうちょっと真面目にやっとけば、もっと勝てたかなというのはありますけどね」と笑顔で語った。
2003年オフに阪神から近鉄にトレード移籍した川尻氏だが、2004年限りで近鉄がオリックスと合併することになり、オフの分配ドラフトで新球団・楽天入りとなった。2年連続で環境が変わることになったが、気持ちは前向きだった。背番号は阪神時代につけた19になった。「『何番がいいか』って聞かれたので『19がいいです』と言いました。けっこう選べましたからね」。36歳での新たなる挑戦だった。
張り切っていた。だが、久米島キャンプでアクシデントに見舞われた。「室内とか(設備が)まだボロくてね、人工芝も継ぎ目があるようなヤツだったんですよ。それで投内連係をしている時に、その継ぎ目にスパイクが引っかかっちゃって。かなり力が入っている時にね。それで肉離れです。もう全然走れなくなって、動けなくなった」。調整などすべてが振り出しに戻った。この出遅れが痛かった。
焦りもあったことだろう。「やっぱりねぇ、走れないし、もう上体だけの力で投げるようなフォームになっちゃったんですよねぇ。それに東北はまた寒かったし、なかなか完全に回復することもできなくて……。夏になってちょっと楽にはなってきたんですけどね」。6月27日のオリックス戦(大阪ドーム)に先発で移籍後初登板となったが、7回4失点で敗戦投手。7月4日のソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)にも先発したが、1回1/3を4失点でKOされた。
それが結果的に現役ラスト登板にもなった。「最後の試合は松中(信彦内野手)にホームランを打たれた。(打者11人に7安打と)ボコボコにやられて終わりましたね」。万全には程遠い状態でのマウンド。当然、巻き返すつもりでその後も再調整に励んだが、1軍から呼ばれることはなかった。「チーム自体も若いし、編成上のこともあったかもしれませんしね」。シーズン終盤には戦力外通告を受けた。
■戦力外となりトライアウト受験も…声かからず引退を決断した
「球団に呼ばれて言われました。出番はないし、ある程度、そうなるんじゃないかと覚悟はしていました」。現役続行を希望してトライアウトを受けることにした。2005年は11月7日に鎌ケ谷、11月25日には神戸サブで2度行われたが、いずれにも参加した。「自分の中ではやり切った感はあったんですけど、最後に受けてみて、とってくれるところがなければやめようと思っていました。ケジメのためにね」。吉報は届かず、12月に入って引退を決意した。
「トライアウトは両方に行ったけど、大したピッチングはできなかった。やっぱり足の故障で思うように投げられなかった。まぁ無理かなとは思っていましたよ」。通算成績は227登板、60勝72敗3セーブ、防御率3.65。「プロに入れるような選手じゃないところから、いろんな方に助けてもらいながら、いろんな出会いもありながらね。自分のなかでもよくやれたかなっていうのはあったんで、やめることに関しては全然抵抗はなかったです」。
社会人野球・日産自動車からドラフト4位で阪神に入団。プロ1年目の1995年から主力投手として活躍し、2桁勝利も3度記録した。弱い阪神の中で際立つ存在だった。「もうちょっと真面目にやっとけば、もっと勝てたかなというのはあるんですけど、まぁまぁそれなりにね。(1998年の)ノーヒットノーランとか、日米野球とか印象に残る試合で投げられたので、そういう意味でもよくやったかなという感じですね」。
1年目が26歳ということもあり、11年でプロ選手生活は終わったが、多くの出来事がいっぱい詰まった中身の濃い11年だった。「いろいろ遊んでみたりとかしたなかでの(通算)60勝なんでね」と川尻氏は笑うが、その勝ち星のほとんどは阪神の低迷期に積み重ねたものでもある。「川尻が先発で投げるのなら勝てるかもしれない」。登板前に、その時代の阪神ファンに希望を持たせたサイドスロー右腕であったのもまた事実だ。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
阪神からパ移籍も「野球どころじゃない」 まさかの消滅危機に…今も続く“儀式”を発案
Full-Count / 2025年1月28日 6時50分
-
“許せなかった”阪神からの戦力外 ビールかけも固辞…直後に決まったパ・リーグ移籍
Full-Count / 2025年1月27日 6時50分
-
突如の中継ぎ転向「嫌だった」 チーム事情に左右された選手人生、拒否できなかった通告
Full-Count / 2025年1月21日 6時50分
-
今でも“謝罪”「あの時は悪かった」 消された先発初勝利…阪神右腕、想定外のローテ入り
Full-Count / 2025年1月20日 6時50分
-
殺到した“引退”のオファー「そんなことあるんだ」 トライアウトで知った戦力外の立場
Full-Count / 2025年1月5日 7時10分
ランキング
-
1河村勇輝、衝撃の12分間「信じられない…」漏れた脱帽の声 「7/7」に米熱狂「本契約来るぞ」
THE ANSWER / 2025年1月30日 9時39分
-
2水原一平被告、裁判で暴露した大谷翔平の私生活“婚前契約”の存在も明かす 「24時間365日待機」「激務なのに低賃金だった」との主張を繰り広げる
NEWSポストセブン / 2025年1月30日 7時15分
-
3「もう見られないの残念」「ショックすぎる…」 21歳逸材、突然の引退報告にネット騒然「なんで?」
THE ANSWER / 2025年1月29日 19時33分
-
4ドジャース大谷の投手復帰に"深刻データ”…TJ再手術後は復帰率6割前後、平均競技寿命半減の厳しい現実
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月29日 17時12分
-
5イチローなら神の領域「WAR100」届いた説 NPBでの全盛期に衝撃、“幻の7年間”で米指摘
Full-Count / 2025年1月30日 11時2分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください