イチロー氏が鳴らした警鐘に盗塁王も同調 失われる“1番打者”…現代野球に欠けた感性
Full-Count / 2025年1月29日 17時27分
■ロフトン氏は通算2428安打、622盗塁、出塁率.372を記録した
歴代屈指のリードオフヒッターが昨今の球界事情に嘆いている。インディアンス(現ガーディアンズ)などで1番打者として活躍したケニー・ロフトン氏は通算2428安打を記録し、通算打率.299、622盗塁、出塁率.372をマーク。米メディアに出演し、「本物の1番打者はレアになってしまった」と“自身の系譜”を継ぐ存在がいないことに悲観した。
米メディア「ジョムボーイ・メディア」のインタビューに応じたロフトン氏。「(通算)17年で11度もプレーオフに進出した。はっきりと言うけど、カブスとジャイアンツの時は私なしではワールドシリーズに進出することはできなかった。私があのチームを違う次元にまで引き上げた。なぜなら、彼らは先頭打者(を務められる選手)がいなかったからだ」と主張した。
続けて「プレーオフになるまで人々は1番打者を気にしないんだ。気にしないんだよ! プレーオフになるまで1番の選手にお金を使いたくないんだ。なのに、プレーオフになったら1番に出塁を求めるんだ」と、大舞台になると1番打者の“価値”が変わるという。そして「(古典的な)1番打者は絶滅危惧種だ。本物の1番打者はレアになってしまった。球を見逃したり、カウントを稼いだり。打席に入る前に2ストライクまで振らないと決めている時もあった。でも、そういう考え方はもうなくなってしまった」と、現球界のトレンドを嘆いた。
近年のメジャーリーグでは1番に大砲タイプが座ることは珍しくない。その一方で巧打者タイプがかなり減っている。マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏も、ロフトン氏と同様に昨今のデータ重視の野球に警鐘をたびたび鳴らし、昨年11月に母校・愛工大名電高を訪問した際は「データでがんじがらめになって、感性が消えていくのが現代の野球」などとコメントしていた。
“自己犠牲”に徹していたと語るロフトン氏はまた、「自分よがりにプレーしてもいいなら、ノマー・ガルシアパーラみたいに初球から振ることもできた。あれはいいよね。だって、彼は初球からぶっ放していたから!」とおどけた。ガルシアパーラ氏は1990年代後半に攻撃的な1番として活躍。まさかの発言に司会のクリス・ローズ氏も大爆笑した。「彼はよく早打ちをしていたよ。なぜなら、数字を残す為にはそうする必要があるんだ。私だって、好き勝手に盗塁することだってできた。でも、私はチーム方針に従ってたんだ。(でも今の時代は)チーム方針なんてもうどうでもいいんだ」と、改めて“考えない野球”にうんざりした様子を見せていた。(Full-Count編集部)
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