わずか4票も…松井秀喜に“再評価”の機運 日米通算507HR、米記者訴え「NPB時代の実績を」
Full-Count / 2025年1月29日 18時53分
■「米野球殿堂」ではなく「国際野球殿堂」を
21日(日本時間22日)にアジア人として初めて米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏の影響で、日本プロ野球(NPB)時代の実績を再評価すべきだと問題提起する記事が、MLB公式サイトに掲載された。「国際野球殿堂」という名前が適切であるとし、イチロー氏以外に再評価すべき人物として、同時代に活躍した大物日本人スラッガーの名前を挙げている。
イチロー氏は野手史上初の満票に惜しくも1票足りなかったものの、99.7%での選出され、殿堂入りが決まった。シーズン歴代最多262安打、通算3089安打の偉業を成し遂げたヒットメーカーが積み上げてきた実績は、もはや誰もが認めるものだと印象付ける結果だった。改めて偉大な記録にスポットが当てられたことで、新たな論点が浮上している。
MLB公式サイトでは27日(同28日)、アンソニー・カストロビンス記者が「イチローの野球殿堂入りが未来(および過去)のアジアの野球選手にとって意味すること」と題した記事を公開。殿堂入りの議論では、メジャーリーグで残した記録だけでなく、アジアなど他の地域で残した成績や、及ぼした影響も重視すべきだとする見解を示した。
同記者は「イチローが2001年にマリナーズに入団してMLBに来た時、それは野球にとっての転機となった」と言及。イチロー氏は2001年に日本人初の野手としてメジャーデビューを果たし、ア・リーグの新人王とMVPを受賞。大成功を収めたことで「MLBの球団はNPBの選手をより積極的にスカウトし、契約するようになった」と、その影響力を評価した。
米野球殿堂には、ニグロリーグでのキャリアを評価されて殿堂入りを果たした選手がおり、その大多数は過去20年の間に殿堂入りしたこと、加えて2011年以降に殿堂入りしたラテン系選手の数が倍増したことにも言及。イチローが殿堂入りしたことで、アジア系選手がMLBに与えた影響が少しだけ反映されるようになったとし、同時に「野球殿堂において、アジアからの選手の影響が適切に評価されているかどうかについての議論もされるべきだ」と問題を提起した。
■松井秀喜の活躍に米記者「もし彼が20代をMLBで過ごしていたら」
その上で、アジアから先駆者として海を渡り、ドジャースでデビューを果たした朴賛浩(パク・チャンホ)氏と野茂英雄氏の役割にも触れた。野茂氏のメジャーでの成績は殿堂入りには値しないとしながらも「彼らのおかげで、アジア人選手に対する懐疑的な見方や固定観念が覆されたことは否定できないだろう」と称賛した。
さらにイチロー氏の後に道を切り拓いた日本人で、殿堂入りを巡って「最も精査に値する人物」として、ヤンキースなどでプレーした松井秀喜氏の名を挙げた。メジャーでは通算打率.282、1253安打、175本塁打、760打点を残した松井氏だが、殿堂入りの候補となった2018年は得票率0.9%(4票)で、1年で候補資格を失った。同年は最終的に殿堂入りを果たした数多くのレジェンドが候補に上がっており、さらにロジャー・クレメンス氏やバリー・ボンズ氏のように薬物使用疑惑で扱いが難しい人物もいたことも影響したようだ。
同記者は「マツイの数字上の実績は、これらの選手と比較すると見劣りした」と、松井氏が1年で候補資格を失ったのは仕方がないとの見解を示した。その一方で「時代委員会が将来的に、マツイを評価する際には彼のキャリア全体をしっかり考慮することが重要だ。NPBが独自の強力なリーグであることだけでなく、MLBにとっての信頼できる(選手の)供給源であることが現在では明らかになっている。全体的なNPBの質を考慮しなければならない」と指摘する。
松井氏は、メジャーリーグでのキャリアの大半は30代で、途中からは膝の故障との戦いが続いた。同記者は「もし彼が20代をMLBで過ごしていたら、その期間はNPBで残した成績に匹敵するものだったと考えるのは過剰な推測だろうか?」と思いを巡らせる。そして「彼は日本で生まれ、高校からドラフトで1位指名され、読売ジャイアンツでのキャリアで全力を尽くした。その全ては、彼の完全で非常に生産的な野球人生を考慮する際に、不利に扱われるべきではない」と力説。NPBとMLBの成績を単純に比較できないが、NPBの成績にも一定の理解をすべきだと主張した。
その上で同記者は、野球殿堂の“国際化”を見越して問いかける。「過去において、野球殿堂の投票者たちは、選手が“米国内”ステージで何を成し遂げたかが、最終的にその選手が殿堂入りできるかどうかを決めると明言してきた。しかし、殿堂がより“国際的”なものになりつつある現在、BBWAA(全米野球記者協会)の将来の投票者や時代委員会は、選手の成績や影響力の全体像をより重視すべきだろう」。イチロー氏や松井氏は日本で10年近くプレーして海を渡った。近年では大谷翔平投手や山本由伸投手が若くしてメジャーリーガーとして結果を残す中、日本人の先駆者たちの功績が、改めて評価される日が来るのかもしれない。(Full-Count編集部)
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