地元紙すらイチロー＞プホルス「先だっただろう」 満票逃しに呈した疑問「理解できない」

マリナーズ時代のイチロー氏【写真：Getty Images】

■カージナルス地元紙「プホルスは初めて満票で選出される野手となるか？」

　マリナーズなどで活躍したイチロー氏（マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター）は、資格1年目で米野球殿堂入りを果たした。期待された満票選出にはわずかに1票届かず得票率99.7％で、カージナルスの地元紙「セントルイス・ポストディスパッチ」が疑問を呈している。

「アルバート・プホルスは野球殿堂入りの際、初めて満票で選出される野手となるか？」と題した記事を公開。「同世代では屈指の選手、史上屈指の打者、国際的な野球にとっては現代の先駆者の一人であるイチロー・スズキは、投票者たちからの賛辞の声が一斉に上がる中で、野球殿堂入りを果たした。声をそろえなかったのはたった一人（の投票者）だけだった」と説明した。

　一方のプホルスは、カージナルス時代の2022年9月にドジャースタジアムで700本塁打を達成。史上4人しかいない快挙で、ラテンアメリカ生まれとしては初だった。また総塁打数と打点ではハンク・アーロンに次ぐ歴代2位で、ベーブ・ルースを上回っている。それでも「（満票選出は）先にスズキだっただろう」と指摘する。

「スズキは、MLBで3089安打、プロ通算では4367安打で殿堂にたどりついた。オールスターに10回選出、ゴールドグラブ賞に10回選出、首位打者は2回獲得している」と功績を称え、メジャーデビューから10年連続でゴールドグラブ賞選出の快挙も、現カージナルス三塁手のノーラン・アレナドのみと2人だけだと強調。ジョージ・シスラーの年間最多安打記録の257本を破り、262本に更新した点もある。

　さらに「2009年、セントルイスでオールスター祝賀イベントが行われていた際、イチロー・スズキはジョージ・シスラーの墓前で彼に敬意を表するために妻と共ににデス・ペレス長老派教会の墓地を訪れ、花を供えた。現役選手で、スズキほどニューヨークのクーパーズタウンを頻繁に訪れた選手はいない。彼は8回訪れた。これだけの成績を残しているのに、あの最後の1票を獲得できなかったことが理解できない」と疑問を呈した。

　殿堂入り対象初年度の投票での殿堂入りに反発があった昔と比べて、投票者たちはここ10年で野手の満票選出に少しずつ近づいている。この傾向は「投票者の現代的なアプローチと、殿堂が投票者数を減らしたことに関係している」と同紙。2016年に満票に迫ったケン・グリフィーJr.は、440票中437票を獲得。カル・リプケンJr.が野手では史上最高の得票率だった2007年当時の投票者は545人だったが、今年の投票者は400人未満だった。野手初の快挙はいつ生まれるのか注目される。（Full-Count編集部）