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西武新任コーチが感じたDeNAとの“違い” 昨季91敗で改革必須も…大事にする伝統

Full-Count / 2025年2月3日 8時57分

西武・仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチ(右)【写真:宮脇広久】

■現役時代は常総学院→早大→日本生命→巨人の王道を歩んだ

 昨年球団ワースト記録のシーズン91敗を喫し、捲土重来を期す西武の宮崎・南郷キャンプで、フレッシュな風を吹き込んでいるのが、新任の仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチだ。現役時代は巨人の正二塁手として長年活躍し、ゴールデングラブ賞を4度受賞。最近は2023年までDeNAの2軍監督を3年間務め、日本シリーズ制覇の基礎づくりを担った。西武には選手としても、コーチとしても在籍したことがなかった。チームが生まれ変わるには、外部から“新しい血”を入れることが必要で、仁志コーチの存在はまさにそれである。

 積極的に選手1人1人と会話をかわし、あの手この手で成長を促そうとしている。たとえば、キャンプ2日目の2月2日。全体練習終了後、室内練習場で柘植世那捕手のティー打撃をスマホで何度も動画撮影し、それを見せながら、あれこれディスカッションしていた。やがて、ティースタンドを縦に3本並べて真ん中にボールを1個置き、3本全ての先端をかすめるようにバットの軌道を修正し始めた。引き出しの多いアイデアマンだ。

 新任の仁志コーチの目に、ライオンズというチームの特質はどう映っているのか。「そうですね、いろいろありますね。昔ながらの古き良き伝統がたくさんある。対照的に僕が一昨年までいたDeNAは、何でも最先端をやろうとする球団でした。どちらがいいとも悪いとも思いませんが、選手が求めるものには応えたいですし、手を入れられる部分はあると思っています」。穏やかで淡々とした中に深い思慮をうかがわせる語り口は、現役時代と変わらない。

 実に多彩な野球人生を歩んできた。茨城・常総学院高で1年時からレギュラーを張り、夏の甲子園に3年連続出場。早大で主将を務め、社会人野球の名門・日本生命でもプレーした。1995年のドラフト2位(逆指名)で巨人入りすると、翌1996年に新人王を獲得。主に強打の「1番・二塁」として巨人で11年活躍した。ここまでは、球界では王道中の王道と言える。その後、移籍した横浜(現DeNA)でも3年間プレーした。

 指導者としては、大学時代からの親友で、当時侍ジャパンのトップチームを率いていた小久保裕紀監督の下で内野守備・走塁コーチを務めたのを皮切りに、小学生世代の侍ジャパンU-12の監督などを歴任。その間、筑波大の大学院で学び、2020年からは江戸川大の客員教授を務めている。

■「DeNAではいろいろな試みがあり、成功も失敗もあった」

 2021年から2軍監督を3年間務めたDeNAは、球界でいち早く最新鋭の計測機器を活用したデータ野球を進化させ、一方で「メンタルパフォーマンスコーディネーター」や「英語教師」といった斬新な肩書のスタッフも設け、きめ細かいサポート体制を構築してきた。その結果、昨年は26年ぶりの日本シリーズ制覇に漕ぎつけた。

 対照的に、かつて森祇晶氏が監督を務めた9年間(1986~94年)に8度リーグ優勝、6度の日本一を達成するなど圧倒的な強さを誇っていた西武は、最後の日本シリーズ制覇が2008年で、パ・リーグで最も長く遠ざかっているのが現状。最近は2021年と昨年に、最下位の屈辱を味わっている。今年は仁志コーチだけでなく、ソフトバンク、ロッテで指導者としてのキャリアを積み重ねてきた鳥越裕介ヘッドコーチも招聘した。

 仁志コーチと鳥越ヘッドはともに53歳で、西口文也新監督は1歳下。3人はこれまで同じユニホームを着たことがなかったが、「2022年には僕がDeNA、鳥越ヘッドがロッテ、西口監督が西武で、そろってファームの監督を務めていて、イースタン・リーグの試合で対戦し、しょっちゅう顔を合わて、いろいろな話をしていました」(仁志コーチ)。信頼関係は既に構築されている。

「伝統があるとかないとかは、プロ野球にとってすごく重要だと思います。伝統がないチームも、前例にとらわれないという面では長所とも言えると思う」と仁志コーチ。「DeNAではいろいろな試みがあって、成功も失敗もありました。そういうのを見てきたので、西武で何が良くて、何をやらない方がいいのかを提案することはできると思います。今までも監督やコーチが一生懸命選手に携わってきて、いい物も教わってきているはず。そういう物を大事にしながら、選手にまた少し違う視点を伝えられたらと思っています。それが外から来た人間の強みだと思います」とうなずく。西武の伝統に敬意を表しつつ、目指すのは自身が経てきた経験とのハイブリッドだ。

 仁志コーチと選手1人1人との会話の量は非常に多い。それでも「今まで知らなかった分、選手のことをもっともっと知らなきゃいけない」と首を横に振る。まだまだ足りないと言わんばかりなのだ。“手負いの獅子”をどう蘇らせるか、お手並み拝見だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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