彼女に漏らした本音「結婚しない方がいい」 戦力外寸前の現実も…救われたひと言
Full-Count / 2025年2月4日 7時30分
■元中日右腕・丸山泰資氏、プロ2年目に右肘のトミー・ジョン手術→育成契約に
プロ野球選手は常に不調や怪我と隣り合わせで、1年後の未来すら見通すのは難しい。だからこそ、結婚や出産など人生の大きな節目のタイミングに迷うこともある。2021年に現役を引退し、現在は中日の球団職員として働く元投手の丸山泰資さんも、戦力外が現実となる中で大きな決断をしたひとり。その裏には、妻の気丈なひと言があった。
愛知・東邦高から東海大に進み、2016年のドラフト6位で中日に入団。1年目の2017年は1軍で8試合に登板し、プロでの足がかりをつくった。しかし、2年目の春に右肘に痛みを覚え、通院しながら騙し騙しのプレー。1軍登板はなく、2軍でもわずか1試合にとどまった。
医師の診断は靭帯損傷レベル。年単位の長期離脱を避けたい思いから、手術ではなく保存療法を選んだ。しかし、右肘は言うことを聞かない。「どんどん、どんどん痛くなっていって……」。その年の秋、たまらず首脳陣に「本当にもう無理です」と告白。想像以上に悪化した肘を治すには、トミー・ジョン手術しかなかった。
■戦力外目前で結婚を躊躇も…背中を押された妻の言葉
プロ3年目はリハビリに費やし、そのシーズン終わりに育成契約に。26歳になるシーズンでの背番号3桁。意味は理解していた。「戦力外はチラついていました。3年目からは常に隣り合わせで、がむしゃらに練習していました」。わき出てくる不安を打ち消すように、無心で走り続けたこともあった。覚悟を決める一方で、私生活でも大きな変化が訪れた。2017年から交際していた未由さんと、結婚の話が進んだ。
手術した右肘の状態は上向かない、育成契約で年俸も心許ない。そんな自分に胸を張れず、躊躇してしまう。正直に思いを伝えた。「来年はどうなるか分からないから、今は結婚しない方がいいよ」。彼女の未来を考えてのことだったが、思いもしない言葉が返ってきた。
「別に関係ないよ。どうせクビになって仕事が無くなったって、この世の中これだけ仕事があるんだから。別によくない?」
自分の悩みがちっぽけに見えてしまうほど、彼女の口調は淀みなかった。2020年1月に結婚。いつプロ野球人生の終わりが来たとしても、最後まで不格好でもあがこうと決めた。
痛くない投げ方を投手コーチと模索しながら、アンダースローに挑戦。「腕にテーピングをぐるぐる巻いて、サポーターをして、温めてから投げていました」。右肘はとっくに限界を迎えていたが、満身創痍で投げ続けた。「もう無理かもしれん、やめたい、しんどいわ」。自宅で妻に弱音を聞いてもらうこともあったが、すぐさま「でも、やるからには全力でやる」と付け加えた。
支配下復帰は叶わなかった。2020年は2軍で1試合登板のみ。2021年は17試合計15イニングを投げ、防御率6.00だった。シーズン後の秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」の参加メンバーに選ばれず、2022年シーズンは訪れないことを察した。「ああ、戦力外だろうなと感じていました。そしたら案の定、電話が鳴って……」。妻に伝えると「ここまでよく頑張ったんじゃない?」と包み込むようなひと言が返ってきた。丸山さんは昨日のことのように思い出して言う。「たぶん1人だったら無理でした。心が折れていたと思います」。
5年間のプロ生活は、ほとんど苦痛の日々だった。それでも清々しい笑顔で言い切る。「未練はありません。やることはやったので」。引退後は中日の球団職員に転身し、アカデミー事業をはじめとした野球振興に励んでいる。2人の子宝に恵まれ、家族はにぎやかになった。迷いの中、妻に背中を押されて踏み切った大きな人生の決断は、大正解だったと胸を張って言える。(木村竜也 / Tatsuya Kimura)
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