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西武に眠る157キロ右腕 母の願いにはNo…21歳に浮かぶ“元メジャー投手”の面影

Full-Count / 2025年2月5日 9時27分

西武・黒田将矢【写真:宮脇広久】

■昨秋ウインターリーグで成長した高卒4年目の黒田将矢投手

 昨年球団ワースト記録の91敗を喫し最下位に沈んだ西武だが、宮崎・南郷キャンプでは将来性豊かな若手がしのぎを削っている。プロ4年目21歳の黒田将矢投手は、昨秋に台湾で開催された「アジアウインターベースボールリーグ」に派遣されて存在感を放ち、初の1軍キャンプ参加を勝ち取った最速157キロ右腕だ。まずは同期入団のライバルに一歩後れを取った1軍公式戦デビューが、喫緊の目標となる。

 いったい何を始めるのかと、周囲がざわついた。キャンプ4日目(2月4日)に2度目のブルペン入りをした黒田は投球前、どこからか全身が映る鏡を運び入れ、マウンド正面のやや右側に置いた。自分の動きを細かくチェックしながら、何回かシャドーピッチングを繰り返す。ようやく納得した表情を浮かべると鏡を退け、そこからストレートとフォークを合わせて計67球を投げ込んだ。

「シャドーピッチングをやってから投球練習をやってみたら感覚がよかったので、このキャンプで初めてやってみました」。指導者に言われるがままでなく、自分の頭で工夫するところに成長のあとがうかがえる。

 昨年までのプロ3年間で1軍登板はないが、台湾では中継ぎとして連日登板し、威力のあるストレートで注目された。本人も「しっかりとした形で中継ぎとして起用されたのは初めてでした。今年はまず中継ぎで活躍したいですし、中継ぎの方が真っすぐとフォークで押す自分のスタイルに合っているかもしれないとも思っています」とチャンス到来を実感している。

 西口文也新監督も、3年目の山田陽翔投手と合わせて「2人とも台湾でしっかり投げてきてくれた。その成果をこの春に見せてもらって、できれば中継ぎ陣の争いに食い込んできてほしい。やはり若手の底上げがチームにとってプラスになりますから」と期待を寄せている。

■“高卒トリオ”形成するライバル2人に1軍デビューで先を越され奮起

 黒田はリリースの際、顔が左側へそっぽを向く。巨人、MLBのレッドソックスなどで活躍した岡島秀樹氏ばりの、力感あふれる“ノールック投法”だ。「岡島さんと比べられるのはおこがましいですが、これは感覚的なところなので、コントロールが悪くなることはありません」と語る。

 2021年ドラフト5位で青森・八戸工大一高から入団し、同い年で同4位の羽田慎之介投手、育成ドラフト3位の菅井信也投手と合わせて「高卒トリオ」と呼ばれた。昨年まで3年間、ファーム監督を務めていた西口監督が手塩にかけて育ててきた逸材である。

 昨年、羽田が5月に1軍デビューを飾り、9試合1勝3敗、防御率2.76をマーク。菅井も6月以降に8試合1勝2敗、防御率5.25で“爪痕”を残した。「昨年は先を越された形でしたが、今年は逆に自分が2人より1軍で多く投げるとか、そういう気持ちでやっています」と黒田の闘志に火がついた。

 一方で、「周りの方々は球速160キロを期待してくれますが、自分としてはそこではなく、1年間を通して高い数字を維持することが目標です。157キロを1球投げるより、153~154キロをアベレージで出せる投手の方が、中継ぎで重宝されると思います」と冷静に分析している。「母も『160キロを出してくれたらいいな』とか言いますが、自分から説明しています」と付け加え、笑顔を浮かべた。雪深い青森県むつ市出身だが、高校時代までソフトボールの選手だった母親も熱い視線を送っているようだ。

 188センチ、84キロのスラリとした長身。いかにもバネが効きそうで、投手向きの体形に見える。母親にはスピードガン表示よりも、息の長い活躍で恩返しするつもりである。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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