日本代表選出直後に絶望「力入らない」 腕上がらず全欠場…カナダで待っていた“悪夢”
Full-Count / 2025年2月7日 6時50分
■元阪急・熊野輝光氏、日本楽器1年目は三塁レギュラーで活躍
1985年のパ・リーグ新人王に輝いた元阪急外野手の熊野輝光氏(四国IR・香川オリーブガイナーズ監督)は中大から日本楽器(現ヤマハ)に進んだ。社会人1年目(1980年)から三塁レギュラーで活躍。2回戦敗退の2年目の都市対抗野球大会では2試合連続本塁打を放ち、カナダで開催されたインターコンチネンタルカップの日本代表にも選出された。だが、カナダまで行きながら右肩痛発症で出場できずじまい。治療行脚の苦しい時期があったという。
中大では遊撃手からスタートし、3年時に三塁転向、4年時には外野を守っていた熊野氏だが、1980年に日本楽器入りしてから再び、三塁手となった。「(中学、高校、大学の監督に続いて)僕の4人目の恩師である(日本楽器監督の)川島(勝司)さんに、サードをやらされた。毎日、ノックしてもらいました。練習は厳しかったですよ。大学の時は全然やっていなかったけど、社会人はやるんでね、だんだん、それなりによくなっていったと思います」。
静岡・浜松市の日本楽器では生産管理部に勤務。「ピアノを月に何台作るとか、そういうのを管理する部。仕事は午前中だけで、午後は野球部の練習ですけどね。寮は本社の近くにあるので歩いて出勤し、昼食後、寮に戻って着替えて、天竜川の方にあるグラウンドまでバスで行く。40分くらいかかったかな。それで練習して帰ってくるという感じ。大会になれば別ですけど、基本的には日曜日が休み。日楽には中大出身のえらいさんがいたり、チームにも溶け込みやすかった」。
日本楽器では1年目(1980年)から三塁レギュラーで起用された。「都市対抗は予選で負けた。それで僕は河合楽器に補強されました」。河合楽器は1回戦で三菱重工広島に敗れたが、貴重な経験になったのはいうまでもない。社会人2年目(1981年)の都市対抗は日本楽器も出場。2回戦敗退で終わったが、熊野氏は「3番・三塁」で出場して1回戦の電電四国戦、2回戦の東芝戦でも本塁打を放った。
「都市対抗は予選から応援もすごかった。部署ごとに横断幕をかけたりしてね。それこそ負けたりしたら、会社に行けない感じだった。(後楽園球場での)都市対抗に出たら、あの頃は新幹線をチャーターして(応援部隊も)みんな乗って浜松から東京まで行っていた。ホント、すごかったですよ」。そんななかで熊野氏は主力選手として、どんどん頭角を現し、社会人2年目の都市対抗後にカナダで開催されたインターコンチネンタルカップ日本代表に選出された。
■「ごっついバキバキって壊れるみたいな感じでやられ」奇跡の回復
日本楽器からは4番打者の武居邦生内野手とともに選ばれたが、そこで試練が待っていた。「行きましたよ、カナダに。本当はそこでバリバリやる予定だったんですけど、肩を痛めてしまって……。以前からちょっとおかしいなって思っていたんです。それがカナダに行った時にはもう全然投げられなくなった。全然力が入らなくてバットも振れなくて試合に出られなかった。(社会人野球協会の)山本英一郎さんには『選んだのに』って怒られましたけどね」。
リッカーの中西清起投手(元阪神)、プリンスホテルの金森栄治外野手(元西武、阪神、ヤクルト)らがメンバー入りした日本代表は、大会を6位で終えた。優勝は米国だった。熊野氏にとっては悔しい大会だったが、帰国後も右肩治療で大変だった。「病院に行ったら炎症と言われたんですけど、炎症というより、何か詰まった感じでなかなか治らなかった。腕を上げることができなくて、力も入らなくて、あの時は、これはやばいんじゃないかって思いましたね」。
とにかく治したい。「いろんなところに行きました。病院もそうだし、接骨医もそう。有名なところがあると聞いたら行きました」。結果たどりついたのが、ある整体医だったという。「何ていうところだったかは忘れたけど、松山とかあの辺だったと思う。予約もなかなかとれないところに行くことができて治してもらった。ホテルに泊まって3日間、そこに通った。ごっついバキバキって、もう壊れるみたいな感じでやられましたけどね」。
それで元に戻ったそうだ。「終わってちょっと安静にして、2、3日したら、あれっみたいな。今思えば、ホント不思議ですよ。こういうところがあるんやなって思いましたね」。プロ解禁の大卒社会人2年目(1981年)は、このアクシデントに見舞われたが、“奇跡の治療”で右肩の状態は回復し、社会人3年目(1982年)は再び外野手になって普通にプレーできた。社会人野球日本選手権では外野手で大会優秀選手にも選ばれた。プロからもまた声がかかるようになった。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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