変化球習得に苦悩「全然落ちない」 ネット検索→即実践…活路見出した“身体特徴”
Full-Count / 2025年2月13日 7時5分
■共にシンカーが勝負球…元鷹・攝津正氏とDeNA・石田裕太郎が語り合う「変化球習得」
変化球を覚えるためには、自身の身体的特徴を知ることと“遊び心”が鍵になる。ソフトバンクで2009年から10年間活躍し、新人王と最優秀中継ぎ、先発転向後も沢村賞と最多勝に輝いた野球評論家・攝津正氏と、DeNAにドラフト5位で入団して4勝を挙げ、今季2年目を迎える石田裕太郎投手。両右腕は1月中旬、都内で運命的な初対面。共に得意とする「シンカー」について、そして、少年野球にも参考になる変化球習得術について語り合った。
「僕がシンカーを習得したのは、大学(中大)4年の春でした。落ちる球が欲しかったのですが、フォークは苦手。当時インターネットで“シンカー”を検索して、最初に出てきたのが攝津さんの動画でした。大いに参考にさせていただきました。シンカーがなかったら、僕はプロになれなかったと思います」と石田は心底感謝している。
フォーク(スプリット)が人差し指と中指でボールを挟むのに対し、シンカーは中指と薬指で挟む。シュートのように腕を自然に内側へ捻りながらリリースするため、右投手対左打者の場合、外角へ逃げながら落ちる軌道を描く。
「攝津さんの動画を見た翌日、早速シート打撃で投げてみると、左打者が引っ掛けてくれる感じがありました。直後の東都大学リーグ・日大戦(2023年5月19日)に試合途中から登板して、左打者が並んでいた相手をノーヒットに抑えました(2回途中から7回1/3を無安打9奪三振無失点)」と石田は振り返る。
これが転機となり、同年ドラフト5位でDeNA入り。攝津氏のインスタグラムにダイレクトメールを送ったことをきっかけに、交流も始まった。そしてルーキーイヤーの昨年、6月16日の西武戦(ベルーナドーム)に先発して95球で9回4安打無失点完封し“マダックス”(100球未満での完封)を達成するなど、12試合4勝3敗、防御率3.97をマークした。
攝津氏(右)と石田のシンカーの握り【写真:高橋幸司】
■身体的特徴で異なる得意な球種「長めの距離からの練習が効果的」
過去のプロ野球で有名なシンカーの使い手といえば、元西武投手の潮崎哲也氏、現ヤクルト監督の高津臣吾氏ら、右のサイドスローが多かった。オーバースローの攝津氏はどちらかといえばレアケース。石田はスリークオーター気味だ。
攝津氏は「シンカーは一般的にサイドスローの方が投げやすく、上からというのは難しいようです。そもそも、本来はあまり使わない指(中指)を使うのがシンカーで、中指と薬指でボール挟むというのはなかなかありません」と説明し、「僕も石田くんと同じように、フォークは全然落ちず、空振りを取れませんでした。社会人(JR東日本東北)時代に中指と薬指で挟んでみたら、シュート回転しながら意外に落ちました」と“出合い”を振り返る。
シンカーを操るには条件があるようで、攝津氏は「人によって“操作しやすい指”が違うと思います。僕の場合はそれが中指で、マメも中指にできました。指と指の間も、人差し指と中指より、中指と薬指の方が開きます」と解説。石田裕も「僕も中指の感覚が敏感で、マメも中指にできます。そもそも僕は、人より中指が長いんです」とうなずく。
身体的特徴によって得意な球種が変わってくることは、中学に進学し変化球が解禁される成長期の投手も、頭に入れておいた方がよさそうだ。
攝津氏は「いかに自分が投げやすい握りを探すかが鍵だと思います」と語り、「変化球の練習は、真面目にやらない方がいい。遊びの中で覚えるのが一番です」と秘訣を明かす。自身の経験を基に「変化球の練習をする時は、バッテリー間だと曲がらなくても、もう少し距離を置くことで曲がることがあります。少し長めの距離から練習を始めて、変化を確認しながら少しずつ縮めていくのが効果的かもしれません」とも提案する。
「YouTubeでずっと見ていた人に会えて、本当にうれしいです」と感激の面持ちの石田に、攝津氏も「僕もうれしいです。これほど感覚を共有できる人は、なかなかいないですから」と目を細めた。制球力向上や変化球習得のきっかけは、どこに転がっているかわからない。動画サイトもまた、“ヒントの山”と言えるかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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