Uberの新「お届け」サービスは意外と日本にマッチするかも

FUTURUS / 2014年8月26日 12時1分

かつてアップル社から初めてiPadがリリースされたとき、私の仕事仲間は競うように、その製品を手に入れた。

しかし、そうした仲間の多くは、すぐにiPadをもてあますようになる。それはキーボードがないからだ。毎日、相当な量の原稿を書かないといけないライターにとっては、テキスト入力に向いていないiPadのようなタブレット端末は意外と役に立たないのだ。

では、そうして利用頻度の少なくなったiPadはどこに行ったのか? と聞くと、けっこうな頻度で同じ答えが返ってきた。「家族にとられたよ」と。

奥方や子供など、インターネットを閲覧したりゲームを楽しんだりするけれど、面倒なテキスト入力はほとんど行わない。それよりも起動が早く、どこにでも、それこそベッドの中でも使うことのできるiPadの方が、高性能なノートパソコンやデスクトップ・パソコンよりも何倍もありがたいものだったのだ。

確かにPCよりもタブレットのiPadの方が何倍も手軽だ。さらに言えば、画面が小さいことを除けば、スマートフォンはさらに扱いが簡単だ。若い人の間でPC離れの動きがあるというのも、当然ではないかと思う。

なぜ、こういうことを思い出したかと言えば、アメリカ発のタクシー配車アプリであるUberが新しいサービスを試しているというニュースを知ったからだ。

Uberは、呼び出したい場所を指定するだけでタクシーを呼び出せるスマートフォン・アプリだ。決済は登録したクレジットカードで行う。非常にシンプルな操作でタクシーを利用できるということで、世界中に利用が拡大する人気アプリである。

そのUberが、2014年8月19日より、新サービス「CONER STORE」をスタートさせた。

これはUberアプリを使って、家庭用品を配達してもらうもの。利用者がアプリを使って配達場所を指定すると、対応可能なドライバーが連絡をしてくる。そこで注文すれば配達OK!決済がアカウントへの課金というのはタクシーと同じ。

ただし、現在のところ、数週間の間だけであり、ワシントンDCの配達ゾーンの一部ユーザーのみが利用可能だ。扱う商品は100種類ほど。また、利用可能の時間帯も月曜から金曜の朝9時から夜9時まで。つまり、あくまでも試験運用的なもののようだ。

ちなみに、Uberは、すでに「ユーザーからドライバーへ」というネットワークを持っている。新しいサービスでありながらも、新たにネットワークを構築する必要がないのは大きな強みだろう。つまり、大がかりな投資なしでスタートできるわけであり、通常業務のオプションのひとつと捉えれば、「そこそこの注文がとれれば良し」とできるのではないか。そして、試験運用がうまく進めば、当然、世界中にサービスは拡大していくだろう。

とはいえ、こうしたタクシー運転手による商品配達サービスは、格別に珍しいものではない。日本国内でも地方都市を中心に、タクシーによる買い物代行サービスはすでに導入が始まっている。日本の場合、高齢者など、家から出ることが難しい人をターゲットにしているのが特徴だ。ただし、日本でのサービスは電話での申し込みが基本となる。また、そもそもとして商品を自宅に届けるというサービスでいえば、ネット通販という巨人も存在する。

そういう意味で、Uberの配達サービスである「CONER STORE」は、ライバルが多いところに打って出ることになり、前途は厳しいものになるのでは?との思いが頭をよぎる。

しかし、Uberはスマートフォンのアプリである。

その強みは、電話やPCに勝るスマートフォンならではの手軽さにあるのではないだろうか。操作も非常にシンプルだ。表示されるマップの中に配達希望(タクシーの迎車)の希望位置を示すことでサービスがスタートする。

PCを持っていない層も、これからは電話としてフィーチャーフォンに代わってスマートフォンを所有することだろう。つまり、Uberのサービスを利用可能な分母の数が増える。さらに、これからの日本は高齢者が増える。その高齢者こそ、自宅への配送サービスのニーズが高いと想定されている。

その高齢者からいえば、PCではなく、スマートフォンから簡単操作できるサービスの方が利用しやすいのではないか。もちろん高齢者もタクシー利用が、アプリで容易になることはウエルカムのはず。

高齢者が増える=タクシー配車&自宅配送というUberのサービスを欲する人が増える。その上、スマートフォンも普及が広がる。日本では、Uberにとってよい条件が揃うわけだ。気がつけば、アメリカ発の先進のサービスであるUberは、若者ではなく高齢者の方が数多く利用する。そんな未来がやってくるかもしれない。

*参考:Bringing the Neighborhood Shop to Your Doorstep | Uber Blog

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